「月給制で働く人」が見落とす最低賃金の基本 あなたは「本当の時給」を把握していますか
もう一例、ワタミの新卒求人を取り上げてみよう。
みなし深夜勤務手当を除いて計算すると
16万円÷((365-107日)÷12カ月)×8時間=930.23円
これも地方都市ならまったく問題はないだろうし、従来の東京都の最低賃金である時給907円は上回っている。ただ、2016年度の東京都の最低賃金が25円アップして時給932円になったら微妙だ。
ドン・キホーテやワタミについては東京都内の店舗アルバイトが時給1000円程度で募集しているところが多い。新卒社員の月給を時給換算すると、アルバイトの時給よりも安いケースもありうるという計算結果が出たことに驚きを隠せない。
歩合給のわな
次に、インターネット上で見かけたあるタクシー会社の求人で見てみよう。その会社の求人では「固定月給14万4000円+歩合給=月収45万円以上可!」と書かれていた。
勤務時間に関しては、「月12乗務(1乗務実働14時間15分+残業あり)」ということであるので、毎月の所定労働時間は12乗務×14時間15分=171時間となる計算だ。
仮に歩合給がまったくつかなかった場合で最低賃金をクリアしているかの計算をすると
14万4000円÷171時間=842.11円
となってしまい、現在の東京都の最低賃金の907円を下回る。実際には何らかの歩合給が付くのであろうから、歩合給を含めて最低賃金を上回れば合法なのだが、仮に成果が出ない場合であっても、最低賃金以上は補償されなければならない。
逆算すれば、このタクシー会社の場合は、907円×171時間=15万5097円の賃金は保障されなければならない。歩合給が15万5097円-14万4000円=1万1097円を下回ることは、法律上許されないのである。
また、営業職の場合でも固定給がほとんどない場合や、完全歩合制の求人もあるが、同様に、どんなに成果が出ない場合であっても、「実労働時間×最低賃金(法定労働時間を超える労働時間部分は割増賃金も)」以上の月度賃金を支払わなければ違法である。
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