富士通、パナが「半導体再編」を急ぐ事情

見切り発車のシステムLSIの事業統合

ルネサスの合流はあるか

今回加われなかったとはいえ、ルネサスの赤尾泰社長は「採算改善が難しいシステムLSIは、他社に譲渡する」とのスタンス。2社の統合へ合流する可能性は残っている。ただ、産業革新機構はシステムLSIでも車載用や産業機械用など採算が取れている製品は本体に残す意向のため、合流候補となっているのは民生分野だ。しかし、民生分野の採算は極めて悪い。とりわけ深刻なのが、10年に180億円を投じて買収したノキアのワイヤレスモデム事業が中核のルネサスモバイル。従来主力だったノキアのフィーチャーホン向けは先細りで、伸びているスマートフォン市場では競争力がない。

ルネサスモバイルはフィンランドやインドなど海外に計2000人の人員を抱えている。昨年10月末にルネサスが実施した7446人の削減は国内社員が対象。1月に発表した3000人規模の追加リストラも海外子会社は対象外だった。ルネサスモバイルの海外人員にメスを入れることはできずにいるが、「ここに手をつけるとなれば巨額のリストラ資金が必要になる」(関係者)。

富士通とパナソニック、さらにルネサスはNEC、日立製作所、三菱電機の半導体部門に源流を持つ。まさにジャパンセミコンともいえる再編に晴れがましさがないのは、お荷物事業の切り離しが実態だからだ。

新会社に対する出資比率はパナソニック、(参加するにしても)ルネサスは最小限にとどめる考えで、再編を主導する富士通も過半を握るつもりはない。スポンサーとして当てにするのは政府のカネが入った日本政策投資銀行である。しかし、それぞれの思惑は入り乱れたまま。まだまだ波乱が起きそうだ。

(撮影:尾形文繁、梅谷秀司)

週刊東洋経済2013年2月23日号

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