がんを狙い撃ち!陽子線治療の精緻な仕掛け 先端医療を支えているのはテクノロジーだ

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菅原文太は膀胱がん、なかにし礼は食道がんを治療したが、どんながんにでも陽子線治療は有効なのか。

その答えは「不向きながんもある」だ。中村さんによれば、胃がんと小腸がんはつねに大きく動いているので狙いを絞りにくいのという。壁が薄いのでがん細胞と一緒に焼き切ってしまうおそれがあるのだ。

陽子線は体の表面から30センチの深さまで届くので、前立腺がんのように体の深いところで起こるがんにも対応可能だ。陽子線治療は、放射線治療のなかで健全な細胞に与える影響が最も小さい治療法なので、小児がんの治療にも適するというメリットもあり、2016年4月に、小児がんのための陽子線治療は保険適応された。

まずは陽子線治療という流れになる可能性も

「陽子線のほうが副作用が少ないという結果が得られています」とヘルスケアビジネスユニット放射線治療システム事業部の中村文人さん(右)は胸を張る(撮影:風間仁一郎)

がん治療というと、外科手術や抗がん剤の服用がまだまだ強い。特に日本は外科手術のレベルが高いので、治療には切って取り除くというイメージを抱きがちだが、専門家の話を伺っていると、これからはまずは陽子線治療という流れになるかもしれない。

「全部とは言いませんが、かなり置き換わっていくのではないかと思います。放射線治療と言えば、以前は手術が難しい、または化学療法が効かない方の緩和ケアに使われることが多かったのですが、今は、治療のために使われています。欧米では従来型のX線治療との比較も進んでいて、陽子線のほうが副作用が少ないという結果が得られています」と中村さん。

高齢化が進み、手術を受ける体力がない人が増えると、ニーズはますます、高まるに違いない。

ただ、陽子線治療システムは、数十億円と高額でかつ特殊な建物を必要とする大規模な装置でもあるので、認知普及させるだけでなく、その回転率を上げることも重要だ。

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