小泉元首相激白「総理よ、今、原発ゼロと言え」 福島事故で被曝した元米兵支援に立ち上がる

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――経産省や電力会社の説明がウソだというのは。

たとえば、産業廃棄物処理業者は、自分で処分場を見つけないと、都道府県知事から営業許可が下りない。原発は、産業廃棄物よりはるかに有毒な放射性廃棄物を出し、その最終処分場がいまだに決まっていないというのに、国が認めている。これ一つとってもおかしいでしょう。憤慨するよ。有毒な放射性廃棄物の処分場コストやリスクを考えると、実は原発は高コストなんだ。

――鹿児島県で脱原発を掲げる知事が誕生した。脱原発の世論の広がりは。

鹿児島では絶対に勝つといわれていた現職が負けた。今や何が起こるかわからないんだよ。三反園訓さんが新知事になった。期待しているんだ、俺は。電力会社が再稼働を進めようとしても、反原発運動は根強い力を持っている。これはいずれ、大きなうねりになる。

――確信を持っているか。

ますます持っている。勉強すればするほど、原発は必要ないことがわかってきた。大体、この5年間、実質ゼロで困っていない。原発ゼロでも停電なし。暑い夏も寒い冬も。この事実は大きいですよ。自然エネルギーなんて大したことないと思われていたけど、今や原発を追い抜いている。原発ゼロはエネルギーの構造改革。やればできると日本が示している。

――原発の再稼働が進められるなど、揺り戻しの動きも強まっている。

脱原発の大きな方向性は変わらない。それよりも、政界も経済界もまだわからないのかとあきれている。今でも原発が必要だと思っている人が特に経済界で多い。

「原発ゼロは時間の問題なんだよ」

「今、総理が原発ゼロにすると言えば、誰も抵抗できない」と、原発ゼロ政策の決断を迫る小泉元首相

――政治がすべきことは。

原発ゼロは国民の多数が支持する政策。どうしてそれをやらないのか。

野党第一党の民進党が言わないのも不思議だ。電力会社、大企業、労働組合が選挙のときに応援してくれるからなのだろう。でも大した票じゃないよ。

――二男の進次郎衆議院議員とも脱原発の話はしている?

(私の)本は読んでいるはず。分かっていると思う。でも、親子で話はしないようにしている。進次郎は進次郎、俺は俺。まだ、(彼は)若造だという立場もあるしね。

――安倍晋三首相に伝えたいことは。

今、総理がゼロにすると言えば、誰も抵抗できない。すぐに変わっちゃうよ。世論も味方している。将来ゼロを目指すんだったら、すぐにゼロにしたほうが、準備ができるじゃないか。原発ゼロは時間の問題なんだよ。

(撮影:梅谷秀司)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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