「子なし女性」を狙えない広告主の複雑心理 購買力は子持ち女性よりずっと高い
マーケティング会社BSMメディアの最高経営責任者(CEO)で、母親を対象にしたマーケティングの著書もあるマリア・ベイリーの推計では、広告に登場する女性の約60%は子どもを持つ母親で、おもちゃなど特定の商品についてはその割合が一層高くなる。
問題のひとつは惰性だ。広告主は長年、家族の中で買い物をするのは主に母親であるという調査結果に従ってきた。ベイリーによれば、母親は2015年に3兆4000億ドルを消費しており、「米国で最も支出の多い消費者グループ」だという。
もうひとつの問題が、子どもを持たないということをどう描くかだ。たとえば2人の女性がソファに座り、ヨーグルトとかスマートフォンについておしゃべりしているとする。彼女たちに子どもがいるかどうかは知りようがないし、それを気にする人もいないかもしれない。
「子なし」理由多すぎて一緒くたにできない
「非常に複雑なテーマだ」と、コンサルティング会社フィーメイル・ファクターのCEOで、『女性のこころをつかむマーケティング』の著者でもあるブリジット・ブレナンは言う。「子どもを持たない女性は、自らそれを選んだのかもしれないし、たまたまかもしれない。この市場を想定するのは非常に困難だ」
事実、子どもを持たないことを選んだ女性と、望んだが授からなかった女性とでは、人は異なった見方をする傾向がある。独身で子どもがいない女性とパートナーがいて子どもがいない女性も、違った捉えられ方をする。
しかし、ウェブサイト「ノットマム・ドットコム」の創業者カレン・マローン・ライトに言わせれば、こうした要因によって女性たちを区別することよりも、すべての女性を対象にすることが重要だ。現在60歳のライトは既婚で子どもはおらず、昨年、自らが暮らすオハイオ州クリーブランドで「ノットマム」サミットを初開催した。