「子なし女性」を狙えない広告主の複雑心理 購買力は子持ち女性よりずっと高い
「たとえば旅行の広告は、極端な女性旅行者にフォーカスしている。セクシーな独身女性か子どもを持つ母親だ」とライトは言う。「年をとっている女性でもなければ、同性の恋人がいる女性でもない」
ノットキンとPR会社デブリーズ・グローバルがまとめた報告書によると、子どもを持たない女性が美容やヘアケア関連商品に費やす平均月額は、子どもがいる女性の2倍だ。外国で過ごす日数も、子どもを持たない女性のほうが60%多い。
食料品の消費量も35%多い
さらに驚くことに、1人当たりの月間の食料品の消費額も、子どもを持たない女性は子供を持つ女性よりも35%多い。理由は明確ではないが、デブリーズのハイディ・ホフランドCEOは、子どものいない女性やカップルはファミリー層よりも高級食品をより多く購入するためではないかと言う。
子どもを持たない女性をターゲットにしたマーケティングの成功例もある。ウェスティン・ニューヨークグランドセントラルホテルは2014年、子どもを持たない女性に向けた販売促進キャンペーンを実施し、ホテルの総料理長やランニングの専門家による健康的な食生活についての相談サービスなどを提供した。
キャンペーンは功を奏し、ソーシャルメディアで幅広く紹介され、ホテルは大きな話題となったと、ウェスティンホテル&リゾートの北米担当副社長ボブ・ジェイコブスは言う。このキャンペーンについての問い合わせが420件あったといい、グループの別のホテルでも同様のキャンペーンを実施している。
ライトが主催した「ノットマム」のカンファレンスは、スポンサーを獲得するのが困難だったという。まだスタートしたばかりで、出席者は100人超と規模が小さかったことも影響しているが、参加者たちがひとつのカテゴリーに簡単に収まらなかったことも原因だ。来年10月に開催予定の第2回では、より多くのスポンサーが集まることをライトは願っている。
「広告主にとっては挑戦になるだろう」と、ライトは言う。「(子どもを持たない女性は)お金があり、誰も自分たちを気に掛けないことをやや腹立たしく思い始めている。広告主は私たちにどうやって目を向けるか答えを見つけ出せずにいるが、こうした女性が世界的に増え続ければ、それをせざるを得なくなるだろう」
(執筆:Alina Tugend記者、翻訳:前田雅子)
(C)2016 The New York Times News Services
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