米ホテル首位、東京駅より品川を選ぶ マリオットが森トラストと組むワケ

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国際的なMICE(ミーティング、インセンティブトラベルなど、多くのビジネス集客が見込めるビジネスイベント)の利用に適した天井高7メートル、面積約900平方メートルの大型バンケットルームを設置する。江戸時代から桜の名所として栄えた御殿山庭園には、ウエディング用の「フォレストチャペル」を作る。

羽田国際化とリニア新幹線が後押し

米ホテル首位のマリオットが、東京初進出の地として、丸の内や日本橋ではなく品川を選んだのはなぜなのか。

マリオットのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントであり、アジア太平洋地区責任者を務めるポール・フォスキー氏は、「羽田空港が国際化したことに加え、リニア新幹線も品川を起点とする計画だ。商業集積と交通の両面から、品川は魅力的だ」と打ち明ける。

固定資産のかたまりで、新規開発投資すれば回収までに長い年月がかかるホテルビジネス。そのトップランナーともいえるマリオットが見据えるのは、都内の長期的な人口動態だった。

リニア新幹線の開通で東京―大阪が1時間で結ばれる時代になれば、都心の磁場は丸の内から品川へシフトしている、との読みがマリオットにはある。世界最大級の会員ネットワークと送客力を持つマリオットのDNAが注入され、御殿山を含む品川エリアがどんな変貌を遂げるかに注目が集まりそうだ。
 

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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