夏本番前に夏モノなくす「セール前倒し」の怪

三越伊勢丹のみ7月1日の一斉開始に異議

三越銀座店のセール。国内の顧客をつなぎ止められるか(写真:記者撮影)

関東ではまだ梅雨明け宣言もされていない7月の下旬――。とある大手百貨店の衣料品売り場では、夏物商品に「再値下げ」の札がつけられ、定価の50%オフで売られていた。その横に、早くも深みのある色合いの秋物ニットも登場している。

百貨店の夏の風物詩、クリアランスセール。かつては客足が減る8月に売れ残った夏物在庫の処分を兼ねて行われたが、ショッピングセンターやファッションビルが7月中からセールを始めるようになるにつれ、徐々に前倒しにされてきた。今や、たとえ売れ行きの良い商品でも、その時期が来れば大幅に値下げされるのが通例になった。

そしてここ数年は、6月末や7月中旬など開始時期は各社まちまちだったが、今年はほぼすべての百貨店が7月1日からのスタートに足並みを揃えた。昨年は7月8日開始としていた高島屋や大丸・松坂屋百貨店も、今年は前倒しした。

三越伊勢丹のみ7月13日からセール開始

唯一、業界首位の三越伊勢丹のみ、2012年から続けている7月中旬開始の方針を今年も変えず、7月13日から参戦する形となった。百貨店は季節を先取りした商品を売るのが慣例だが、あまりにセールを前倒しにした結果、「夏モノが本当に欲しい時期に色やサイズがそろわなくなってしまっている。季節と店頭の商品が合わないのはおかしい」として、今後も孤独な戦いを続ける方針だ。

高島屋の場合、セール期間が延びたことで7月の売り上げは3週目まで前年に比べ2%程度上回っている。開始時期が各社そろったことで、客が他店との間で買い回るプラス効果があった。ただ、売り上げの増加は見込めても、商品を定価より安く売れば利益率は下がる。「7月末にかけて、晩夏ものの定価商品が売れることに期待したい」(高島屋)。

また、売り上げに関しても「セール期間を長くしたからといって在庫の数には限りがある。結局どちらでも売上高に大差はなかった」(とある百貨店の関係者)という場合すらある。

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