円安継続だが一時90円も?短期調整にご用心 ディーラー歴20年の達人が読む為替
2月に入り、株式市場、為替市場ともに一気に上値を試しに来たわけだが、一方、日本国債の10年物はというと、利回りは0.77~0.79%とむしろ債券買いとなり、リスクオフ的でアベノミクスという国策にのらない動きになっている。つまり、イケイケの株式、為替市場対悲観的な債券市場という図式になっており、見事に各市場のプレーヤーの特徴がでている相場になっている。
米ドルが下落しにくい原因とは?
この間ドル円は90円75銭から、節目ごとに設定された「オプションンバリアー」を粉砕して上昇してきた。オプションバリアーとは、消滅条件等、様々な仕組みを内包した特殊な条件が付いているオプションの権利行使や消滅となる価格のことである。
バリアーの手前は売り(上昇相場では)、抜ければ損切り的な買いがでる価格。仮にドル円ならば、25銭あるいは50銭刻みごとにバリアーが設定されており、その影響でドル円が節目(00、25、50、75銭など)のきりが良い数字の前で上昇が押さえられるケースも見られる。前から書いているが、アジア系中央銀行やヘッジファンドが好む手法だ。また91~93円台では上昇を見込んだヘッジファンド勢が90円台に上昇する前にドルコールオプション(ドルを買う権利)を仕込んでおり、それらのプレーヤーが上昇局面では利食いの売りをだしてきている。
とはいえ、この上昇相場で売りたい人たちは、余裕でドル売りができているだろう。むしろ売りすぎてしまったかもしれない。輸出勢の社内レートは、12月発表の日銀短観によると全産業で78円59銭、製造業で78円53銭とはるかに円高のレベルになっている。少なくとも3月までの為替予約はすでに終了してしまい、どちらかというと今より円高局面でドルを売ってしまい、企業業績へ円安効果がでてくるのは4月以降の新年度になる可能性が高い。逆に輸入が必要な業種、特にエネルギーの輸入のためのドル買いは継続的にでている可能性が高い。
このように買い手が不利な状況が、ドル円が高値圏であるにもかかわらず押し目を作れない原因なのかもしれない。昨年11月以降の上昇局面では、調整の期間はドル円、ユーロ円、株式ともに最大3日、ほとんど1日か2日で下落が終了して反発している。ドル円が3日間下落したのは、1月22日の日銀政策決定会合の時だけで、ユーロ円も同様になっている。
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