円安継続だが一時90円も?短期調整にご用心 ディーラー歴20年の達人が読む為替

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

高値圏での乱高下や、要人の発言に注意

しかし高値圏での調整を分析すると、期間こそ短いがユーロ円は3円下落するなど、調整幅は決して小さくはない。1月中盤以降、1日の値動きのボラティリティ(変動率)が高くなってきており、ドル円94円、ユーロ円127円といった高値圏での乱高下は、今まで以上の調整を招く波乱要因にもなる。

ここにきて、ユーロ圏から悲観的なニュースがでてきていることも気になる。ラホイ・スペイン首相率いる与党の不正献金疑惑、イタリア総選挙に向けベルルスコーニ元首相が率いる中道右派の支持率が中道左派に近づいてきており、緊縮財政の継続に不透明感がでてきたこと(中道右派が政権を取った場合)などがあげられる。

またモスコビシ・フランス財務相が11日のユーロ圏財務相会合、15~16日のロシアでのG20において、「ユーロ高を巡る懸念について取り上げたい」という意向を語ったこともユーロ円の下落の引き金になっている。ここのところの急速な円安に対する各国からの懸念発言も円高の材料になる。

フランスは歴史的に通貨高に対する耐性が弱く、すぐに音を上げるのだが、ドイツのザイベルト報道官は、「ユーロは現時点では、過大評価された水準にない」ときわめて冷静に述べている。

過去のユーロドルの高値が2008年7月の1ユーロ=1.60台、ユーロ円の高値が2008年7月の1ユーロ=169円台後半であることを考えると、現在のドルユーロ1.34台、1ユーロ125円台が決してユーロ高でないことは誰にでもわかることだ。

とはいえ95円、125円台といった節目を達成、あるいはほぼ達成しつつある高値圏での乱高下、要人発言は、調整のきっかけになる可能性もあり、注意したい。長い円安トレンドは継続とみているが、ドル円は90円~95円、ユーロ円は123円~128円のレンジを形成し値固めをする可能性にも注意しておきたい。

田代 岳 国際金融コンサルタント、元為替ディーラー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たしろ がく / Gaku Tashiro

たしろ がく 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会 社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深 い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替 に関する情報を発信しており、人気を博している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事