「絵文字」で国民性を読み解くことができる フランス人が他国の4倍も使うのは?
さて、ここでまた世界レベルの話に戻りましょう。Emojiは大きな可能性を秘めています。「次世代のコミュニケーション言語」としての可能性です。
完全に既存の言語にとってかわることはありませんが、他国語のカベを越えてわかりあえる非言語コミュニケーションです。このことは、私たち専門家にとっても非常に重要なことです。まさに、世界的なクリエイティブやコミュニケーションの観点からEmojiはとてもユニークなわけですが、ここで2つの重要なポイントをお伝えしたいと思います。
とらえ方は人それぞれ
ひとつは、同じEmojiでも同じ感情が伝わるとは限らない、ということです。例をお見せしましょう。日本とタイを比較したとても面白い実験で、日本にある早稲田大学の人間科学部によって行われたものです。
日本とタイの学生200名に、いくつかのEmojiを見せて「どのような感情を受け取るか?」を聞いたものです。結果はとても興味深いものでした。
見てください。これがそのうちのひとつのEmojiなのですが……実に面白い結果です。
このEmojiを見て、91%の日本人学生が「哀」と答えたのに対し、タイ人学生では「哀」は51%にとどまりました。いっぽう、29%のタイ人学生が「楽」と答えました。日本人ではわずか6%です。同じアジアの国であっても、こんなに違うのですね。私も個人的には、これどう見ても「哀」であって「楽」には見えません。日本とタイの学生カップルがあんまりEmojiでやりとりし過ぎると、大変なことになりそうですね(会場笑)。
もうひとつは、本来のEmojiが持つ、「微妙なニュアンスを伝える」、もっと言えば「余白や余韻を伝える」という機能です。お話ししたように、Emojiには、言葉になりきれないメッセージや、経験したことに対する曖昧な感情などを伝達する役割があるわけです。
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