③聞き手を分析する
聞き手は経営者なのか、一般社員なのか。社内の人なのか、社外の人なのか。好意的に聞いてくれる人たちなのか、シビアに見る人たちなのか。プレゼンする商品について、現時点でどのぐらい知っている人たちなのか。「聞き手の情報」を事前に把握するようにしましょう。それによって、準備する原稿や話す内容も変わってきます。
――「営業女子100万人で輝く社会を!」。これは今回、私が矢野さんの指導を受けて、シンポジウムのプレゼンで発言したメインメッセージでした。おかげさまで何人もの人から「あのスピーチ、よかったよ!」「『100万人!』のフレーズは素晴らしいですね」などと声をかけられました。職場でも使える「メインメッセージのコツ」は何ですか。
13文字以内にまとめること。これは「NHK式」なんです。テレビの画面に収まる最大の文字数であり、インターネットでもモニターの制限によって13文字に指定されています。多くても20文字にしてください。息継ぎをせずに一気に話せるのは、せいぜい15文字。息をついたら、伝える力は弱まってしまいます。
1文を50文字以内におさめるべし
――私自身は元々、まったく違うメインメッセージを考えていました。
太田さんがあらかじめ作っていたのは「営業女子の活躍は意義があります。そしてその市場を拡げることで、未来が明るくなる」。しかしこれでは文字数が多すぎます。「意義があります」のところで息つぎをしてしまい、インパクトが弱まるのです。たとえ細かい点がピンボケしても、一息で力強く言える、短い言葉を作るのが効果的です。
――さらに私は「営業女子100万人で輝く社会を!」に、アクセントをつけて発声し、6分のプレゼンで6回繰り返しました。
何度も繰り返すことで印象に残ります。繰り返す回数は1分あたり1回が目安です。キング牧師のスピーチ「I have a dream」を思い出してください。I have a dreamという言葉を連続5回繰り返したからこそこのフレーズとともに後世に残るスピーチになりました。メインメッセージは、スピーチの最初と最後には必ず入れてください。末尾の「ご清聴ありがとうございました」は囁く程度でOKです。
――メインメッセージに続く原稿の作り方には、どんな心構えが必要なのでしょうか。
1文を50文字以内におさめてください。1文が長い人は、話しているうちに何が言いたいのか、自分でも分からなくなってしまう危険性があります。よくあるパターンは「が」の多様です。
×「私は太田彩子と申しますが、営業職をしていますが、今日はこのような場にお招きいただき光栄だと思っていますが……」
〇「太田彩子です。営業職をしています。今日はこのような場にお招きいただき光栄です」
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