東急「電車定期でバスも」は混雑緩和になるか 途中駅でバスに乗り換え渋滞なく勤務地へ

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今回のキャンペーンについて、東急電鉄の鉄道事業本部事業戦略部・梶谷俊夫さんは「主な目的はお客様にとって最適な交通手段の選択肢を広げること。その結果として田園都市線の混雑緩和にもつながれば」と意図を説明する。

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池尻大橋駅のバス停に停まる東急バス

念頭にあるのは、新しいオフィスの増加が続いている旧山手通り周辺や、地下を田園都市線が走る国道246号沿いなどへの通勤者だ。旧山手通りは、渋谷駅と池尻大橋駅のほぼ中間地点を通っており、どちらの駅からも徒歩10分程度の距離だ。

だが、起伏のある地形のためどちら側からも上り坂となり、特に暑い時期は決して楽ではない。同社事業戦略部の北野喜正さんは「旧山手通り沿いへは渋谷から坂を上って戻る方が多い」と話す。

渋谷から歩くより途中からバスで

その点、バスは三軒茶屋―渋谷間に停留所が7つあり、旧山手通り周辺にも「大坂上」「道玄坂上」などのバス停がある。三軒茶屋―渋谷間を乗り通すなら電車のほうが圧倒的に早いが、旧山手通り周辺が目的地なら「池尻大橋からバスを利用したほうが、渋谷駅から歩いて行くよりも早い」(北野さん)。

そこで、渋谷駅からはやや距離のあるこれらの地域への通勤客に、途中駅からバスを使ってもらうことで利用客を分散させ、結果として田園都市線の混雑緩和につながる効果を狙っているわけだ。

まだキャンペーン期間中でもあり、実際の利用者数は非公表だが「初日から見るとかなり増えた」模様だ。すでにリピーターも多いようで、実際、三軒茶屋のバス停では「(目的地が)駅よりバス停に近いので、電車の定期でバスに乗れるのは便利」と話す利用者の姿が見られた。梶谷さんは「最初に利用するまではハードルが高いが、一回乗って便利だと気づいた方が、その後も利用いただいているのでは」と分析する。

今回が初の試みでもあり、今後については「まず今回やってみて検証しようという段階」。梶谷さんは、期間内に多くの人に利用してもらい「ご意見などをいただければ」と話す。

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