東芝、米原発で電力会社と訴訟合戦の泥仕合 新事実が米国の裁判記録で明らかに
東芝の子会社で原子力発電所を手がける米ウエスチングハウス(WH)が、米国の電力会社と原発の建設を巡り、訴訟合戦をしている――。今回、米国の裁判記録を基に、新たな事実が東洋経済の取材で明らかになった。
「原子力の需要は高まっている」と、WHのダニー・ロデリック会長は従来から、原発の新設計画が順調に進んでいることを、記者会見の場などで何度も強調してきた。だが、WHのおひざ元の米国で、受注後に契約を解除され、訴訟にまで発展、今なお係争中の案件が残っていたのである。
WHは現在、米国ではジョージア州とサウスカロライナ州の2カ所で、4基の原発を建設している。これらは2008年に受注した案件であり、2019年~2020年の間に稼働する予定だ。しかし、8年前、これらの受注を最後に、WHが建設を始めた原発は1基もないのが現状である。
2013年に契約解除、翌14年には訴訟へ
実はこの4基に続き、もう2基建設が開始されるはずだった。2009年1月にWHが2基を受注した、フロリダ州の「レビィ原発」である。1号機が2016年、2号機が2017年に完成予定。一般的に、EPC(設計・調達・建設)契約の場合、受注金額は1基で約4000億~5000億円といわれている。そのため2基で1兆円近くの大型プロジェクトであった。
が、電力会社側は2013年、建設断念を決定。翌年にWHとのEPC契約を解除した。
理由はいくつかある。2011年に起こった福島原発事故後、米原子力規制委員会(NRC)が新規建設の規制を強化し、建設・運転一括許可(COL)の下りる時期が後ろ倒しされたこと。元々、契約は2014年1月までのCOL取得が前提となっていたため、期限切れとなってしまった。さらにフロリダ州法の改正によって、コスト回収が難しくなったことなども理由だ。
遅延や契約解除を巡り、発注元の米デューク電力(契約時は米プログレス・エナジー・フロリダ)がWHを2014年3月28日に提訴し、一方でWH側も3月31日に電力会社を相手に提訴した。訴訟の内容については、「契約を巡ること」(東芝)と、詳細は明らかにしていないが、お互いがこれまでのコストや契約について訴え合う、泥仕合になっているのだ。
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