東芝、米原発で電力会社と訴訟合戦の泥仕合 新事実が米国の裁判記録で明らかに

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東芝グループの原子力事業を担うWH。写真は米ペンシルバニア州にあるWH本社

受注から4年経ち、WHとしては、建設準備なども徐々に進めていた。1兆円というプロジェクトを失った影響だけでなく、訴訟費用も含め、ここに至るまでのコストや労力も半端なものではない。たとえ、訴訟でWHに有利な結果が出たとしても、決して無傷ではない。

このほかにもWHは米国で、訴訟にまで発展した案件がもう1つある。現在も建設中である、ジョージア州の「ボーグル原発」だ。やはり福島原発事故による規制強化でコスト増加の原因である。そのコスト負担を巡って、電力会社とWHが、お互いに訴え合っていた。2012年に始まった訴訟は、2015年12月にようやく和解が成立した。

今後もWHは、インドや中国で原発を新設していく方針を示している。ただ、新興国は時の政権の意向次第で、原子力政策が変更になることもしばし起こる。技術力を付けてきた中国や韓国メーカーが価格を武器に、インドなどの新興国に攻勢をかけてくることも考えられる。

そのため、まずは政情が安定している米国などの先進国で、安定した受注が欲しいところ。ところが、WHの牙城である米国で新規建設が上手くいかず、コストだけが出ている状況だ。さらに、原油価格下落で火力発電などのコストが低下してきており、原発の優位性は一層薄れてきている。それでも、なお東芝としては、2030年までに45基の原発の建設を計画しているが、それはあまりに楽観的過ぎるのではないだろうか。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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