伝家の「アメリカ放題」は、なぜ炎上したのか 終了わずか半月で無料キャンペーンを再開

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顧客専用サイト「My Softbank」やSMSでのお知らせで、7月に入ってから「数日で数万円」という高額な利用料金になっていることに気づいた顧客が驚き、ソフトバンクの相談窓口に問い合わせた。そのやりとりがインターネット上で公開されると、「自分の利用料金もすごいことになっている」との書き込みがなされ、"炎上"した。

顧客の中には「キャンペーン終了を知らせるSMSはきていない」とする者もいる。ソフトバンク側は「6月7日からホームページでキャンペーン終了を告知。6月24日時点で米国にいる顧客全員にSMSで告知、24日以降は、同日以降に渡米してスプリントのネットワークを利用する全顧客にSMSで告知した」という。

5ギガ以上の顧客にも高額の利用料金

ただ、システムトラブルにより、5ギガ以上の料金プランの顧客にまで高額の利用料金が表示され、このことも混乱を招いた一因とする。5ギガ未満の料金プランの顧客など実際に高額請求となる事例の件数を会社側は明らかにしていないが、「そんなに多くはないはず」だという。

ソフトバンクは7月15日のニュースリリースで「十分な告知期間を設けられたなかったことなどでお客さまを混乱させてしまったことを踏まえ、(キャンペーンを)再開することとしました」とした。会社側は「7月1日にさかのぼってキャンペーンを再開することで、5ギガ未満やホワイトプランの顧客に高額の利用料金を請求することはない」と説明している。5ギガ以上の料金プランの人に高額な利用料金を請求する予定はそもそもないが、システムの不具合が7月15日時点で完全復旧していないので、顧客専用サイトには高額な利用料金が表示される可能性はあるという。

再開された無料キャンペーンがいつ終了するかは未定だが、今度終了する際は十分な告知期間を設けるつもりだとしている。ただ、認知度向上という当初の目的が達せられているという認識に変わりはないという。そうであれば、今回の騒動でさらに認知度が向上したことは間違いないため、無料キャンペーンは早晩終わるとみられる。「十分な告知期間」がどのくらいの期間を指すのかは不明だが、ホームページで1カ月足らず、SMSで数日間という今回の告知期間よりは長く設定する、ということだろう。

問題は、システムトラブルによって発生した5ギガ以上のプランにおける誤表示だ。これは会社にとっては想定外の出来事だったというが、多くのユーザーは、料金請求の正確性に対し、不信感を持ったはずだ。当然のことながら、今後の新規顧客の獲得や既存顧客の繫ぎとめにも少なからず影響が出るだろう。今回の失態で失ったものは決して小さくはない。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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