「ディズニー」へ「ユニクロ」が出店したワケ 国内は「低価格」路線へ復帰、その成否は?

拡大
縮小

この値下げ戦略が浸透するにつれ、売上高が徐々に回復してきた。

月次の既存店売上高は、3月が前年同月比0.3%のマイナスだったが、4月は同1.3%増、5月は同5.9%増、6月は同4.5%増とプラスを維持している。いずれの月も、客単価が同9%前後上昇したことが牽引した。

ユニクロは、2014年から2015年にかけ2年連続で値上げを実施。その値上げ戦略と決別し、低価格戦略に戻した。このことで安さを改めて実感した客が、1人あたり購入点数を増やしたため、客単価が上昇したとみられる。

客数はまだ減少が続いている

店頭のPOPで低価格をアピール

値下げ戦略は成功しているように見えるものの、実は客数はまだ減少しているという課題がある。

今期2015年9月~2016年6月までの10カ月間、1月以外はすべて前年割れとなっている。

だが、2015年11月の12.9%減、12月の14.6%減に比べれば、減少幅は縮小してきている。直近の6月は3.6%減にまで戻した。特に平日の客数が増えており、改善傾向が見られる。

「これからの秋冬商品でも価格を見直します」(ファーストリテイリングの岡崎健最高財務責任者)と、秋冬商品でも値下げを実施し、今後もEDLP戦略を続ける方針を明らかにしている。これにより、客数が前年を上回るところまで伸ばすことができるか。さらに、客単価の上昇も維持できれば、売り上げの大幅増が見込めるベストシナリオとなる。

国内のユニクロ事業がもっと稼げるようになれば、米国へのさらなる投資もできる。米国事業を立て直すためにも、国内の価格戦略を失敗させるわけにはいかない。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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