新幹線の海外展開が単なる輸出ではない理由 台湾高速鉄道に見る「現地化」の大切さ
高速鉄道は「現地化」が大事だ
――今回の会議は初めて海外で行われましたが、台湾で開催した意義は。
日本の新幹線システムを導入して高速鉄道をゼロからつくりあげた最初の例を見てもらえたという点ですね。新幹線は「日本だからできた」と思われがちです。でも台湾の例を見てもらうと、日本以外の国も新幹線システムを導入して優れた高速鉄道をゼロからつくりあげたのだから、自分たちの国でもできるという実感を強く持ってもらえると思います。
――新幹線システムの採用例として、台湾が各国の参考になる点はどこですか。
プロジェクトの途中経過の都合で一部にヨーロッパの規格も混ざっていますが、車両や信号などのコアシステムは日本の新幹線システムで、さらにオペレーションやメンテナンスが現地化できている。例えば人材の育成はJR東海が中心となり、コアの人たちを研修、訓練して、その後は台湾高速鉄道で行っているわけです。この現地化というのが非常に重要です。
――近年は都市鉄道などで、システムの供給と共にオペレーションも他国の企業が担う例が見られますが、日本システムの高速鉄道は現地化が重要なのでしょうか。
日本からの技術的なアドバイスなどはもちろん必要ですし、台湾高速鉄道の台北駅から南港駅までの延伸も、システムの切り替えはJR東海がサポートしているんです。ですが、オペレーションやサービスなどは運営する国が工夫して、責任を持って自国のインフラにしていかないと長続きしないでしょう。高速鉄道は複雑かつハイレベルなシステムインテグレーションが必要なので、これは決定的に重要です。
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