都内「痴漢被害」7割が電車や駅で起きている 女性専用車、防犯カメラの設置進む鉄道各社
電車内での犯罪で、大きな問題となり続けている痴漢。一般的には都道府県の迷惑防止条例違反、悪質な場合は刑法の強制わいせつ罪となる。警視庁のデータでは、2015年に都内で発生した迷惑防止条例違反(痴漢)の件数は約1900件。場所別の発生状況では54%が電車内、18.2%が駅となっており、7割超が鉄道関連で発生していることになる。
最近では、関東エリアの鉄道事業者19社局と、警察庁・警視庁・埼玉県警・千葉県警・神奈川県警が6月1日から12日まで「痴漢撲滅キャンペーン」を行った。鉄道各事業者で共通のポスター掲示、車内や駅構内での放送による呼びかけを行ったほか、JR東日本では、車内のドア上部にある、運行案内や広告を放映する画面「トレインチャンネル」でも、ポスターと同内容の呼びかけを放映した。
また、警察官や鉄道事業者社員による「痴漢撲滅イベント」も実施した。警視庁によると、警視庁管内では、6月2日に立川駅の駅構内でチラシやグッズの配布、6日には新宿駅で通勤時間帯に広報啓発活動を行い、パトロールも行ったという。
周囲の無関心がもたらす被害
痴漢の発生状況や検挙数についてのデータは限られている。電車内に限定したデータとしてまとまっている近年の資料では、2011年3月の「電車内の痴漢撲滅に向けた取組みに関する報告書」(警察庁)がある。これによると、2010年の取り締まり強化実施期間中に電車内での痴漢で検挙された122件・121人のうち、路線別で多かったのはJR埼京線(12件)、JR中央線(10件)、京王線(9件)、JR東海道線(8件)、小田急線・田園都市線・JR総武線(各6件)の順番となっている。
上記の調査では、東京圏に居住する男女40名へのグループインタビューも行っている。女性からは、改善策の評価もある一方「啓蒙活動などが足りなすぎる。どこに連絡していいかもわからない」「周りが無関心すぎる」など、現状に対する厳しい声も多い。また「通報しても、仕事に行くなり学校に行くなりの時間を割かれてしまう」「実際、痴漢にあったとしても、相談する場所は交番なのか110番なのかわからない」などの問題点を指摘する声も目立つ。
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