日本の観光は驚異的に成長できる 2020年、アジアの富裕層は3.5億人

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また、富裕層の中には、日本の治安の良さや健康と長寿を育む環境などに惚れ込んで、日本に移住したい、あるいは別荘を持ちたいという人が数多く出てくる可能性があります。実際、日本で相続税がなくなれば、日本に移住したいという米国の大都市に住む富裕層が意外なほど多いのには驚かされます。

日本は治安の良さでは、間違いなく世界でナンバーワンです。夜間に皇居の周りを女性ランナーが走っていても、誰も危険だとは思わない国なのです。こんなことは、米国や欧州、その他のアジアの国々では、とても考えられません。特に銃規制が甘く、発砲事件が相次ぐ米国と比べれば、日本の犯罪発生率の低さは、富裕層にとって大きな魅力となっているのです。

日本人の健康と長寿も、海外の富裕層に日本をアピールする大きな武器となるでしょう。世界保健機関(WHO)によると、2011年の日本人の平均寿命は83歳で、世界で第1位です。これは、中国の74歳やインドの65歳と比べても、アジアでは断トツで長いのです。実は終戦後の今から60年前には、日本人は先進国の中で一番寿命が短かったのですが、食生活の向上と医療制度の発達により、今や日本人は世界屈指の健康で長生きする国民となりました。

この「健康・長寿の国」という事実も、観光に結びつけることができます。これは、次回に話す成長産業である「医療」の話でも詳しく述べますが、日本は医療ツーリズムをもっと積極的に売り込むべきだと思います。医療ツーリズムの先進国であるタイでは、年間100万人もの医療観光客を受け入れています。これに対して、日本は年間1万人程度と大きく水を開けられている状態です。

日本の医療設備は、世界で最も充実しています。たとえば、一人当たりの断層撮影装置(CT)の設置台数は、医療先進国と言われる米国の3倍にも上ります。ポテンシャルは十分に備わっているのです。要は、自らの強みを認識し、どう観光と結びつけていくかにかかっていると言えるでしょう。

次回は、成長産業の最後となる医療について述べたいと思います。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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