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トヨタ「エスティマ」全面改良を急がない理由 発売10年の3代目は熟成でその地位を守る

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  • 森口 将之 モビリティジャーナリスト
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旧型のフロント

その中でもっとも変わったのはフロントマスクだろう。ヘッドランプを薄型に仕立てるとともに、大開口のアンダーグリルと張り出したバンパーコーナーの組み合わせで、ワイド感を強調している。アクアやカローラなどとの近似性も感じるこの顔は、しかしながらイメージチェンジだけが理由ではなかった。

最新の基準に適応

「新型では最新の歩行者頭部保護基準に適合させる必要がありました。これが大変でした。ハイブリッドではエンジンルーム内の余裕がほとんどないからです。そこでフロントフードの高さを前で40mm、後ろで30mm上げました」(堀氏)

たしかにじっくり観察すると、従来に比べて全般的にノーズにふくらみをもたせた感じがする。でもそれは教えられたから分かったことであり、何気なく目にするときの新型は、まぎれもないエスティマである。絶妙な造形だ。

思えばミッドシップ方式の初代からフロントエンジンの2代目へのモデルチェンジの際も、エンジンの搭載位置が変わったとは思えないほど、スタイリングの特徴をうまく継承しており、感心したことを覚えている。時代に合わせて中身を変えつつ、エスティマらしさを維持していこうという意思が、ブランドイメージの確立につながっているのではないかと思った。

リアではコンビランプがフィンを立てたような造形になったことが目立つ。こちらは空力対策で、40km/hあたりから走行安定性に効いてくるという。一方のボディサイドはモールのラインを水平に近づけている。こちらは落ち着き感を演出したそうだ。

従来ガソリン車、ハイブリッド車、アエラス(ガソリン/ハイブリッド車の両方に設定)の3タイプがあった顔つきは、販売のほとんどを占めていたアエラスに統一し、3.5L280psを豪語していたガソリンV型6気筒エンジンは、近年はほとんど売れなかったのでラインナップから落とすなど、車種整理も断行している。

予想以上に手が入っている運転席周りのデザイン
エレガントな印象をもたらすホワイトのインテリア

一方で2014年、女性ライフスタイル誌とのコラボレーションで生まれた特別仕様車「VERY edition」は好評だったこともあり、そのイメージを受け継ぐグレードとしてアエラス・スマートを設定した。

取材車もこのアエラス・スマートで、ホワイトのインテリアがエレガントな印象をもたらす。さらにインパネには金属調のモールやステッチを配しており、中央のディスプレイは8インチから9インチに拡大。メーターやステアリングはスタイリッシュになるなど、予想以上に手が入っていた。

新たに採用した2トーンカラーにも工夫がある。まずブラックを全面に塗り、その後窓の下の外板を別の色で塗装したので、車内から見えるドアのサッシュ部分もブラックになり目立たない。これもインテリアの質感を高めることに貢献している。

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【モデルチェンジの必要はないと実感】

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