「N-BOX」と「タント」超激戦の不都合な真実 現場は「禁断の果実」をなかなかやめられない
三菱自動車、スズキ――。程度はそれぞれながら相次ぎ明らかになった燃費不正問題が波紋を広げている。三菱自動車は自社向けの軽自動車「eK」シリーズと日産自動車向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給する「デイズ」シリーズの生産・販売を4月下旬から停止。5月末に問題が発覚したスズキも含めてブランドイメージは低下している。
「N-BOX」と「タント」の熾烈な販売競争
「eK」「デイズ」は7月1日から販売を再開し、生産も追って始動する見込みだというが、一時的な生産・販売停止のダメージは大きい。三菱自動車、日産、スズキの3社が販売に悪影響を受ける軽自動車市場で、今後、一部顧客が流れる可能性があるのは、一連の不正とは無縁のダイハツ工業とホンダだろう。もともとここ数年の車名別新車販売ランキングでトップを争ってきた「N-BOX」(ホンダ)と「タント」(ダイハツ)の販売競争は一層熾烈になってきている。
N-BOXとタントの基本モデルは全高1.7~1.8メートル。「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるタイプの軽乗用車だ。かつて圧倒的な人気を二分した「ワゴンR」(スズキ)、「ムーヴ」(ダイハツ)などよりもさらに背が高く、ゆったりとした室内空間を実現し、近年の軽自動車市場ではドル箱の存在となっている。
全国軽自動車協会連合会の統計によると2015年度(2015年4月~2016年3月)の新車販売は、N-BOXが約17.2万台と前年度から8%落としたものの、同27%減の約15.5万台だったタントから2年ぶりに王者を奪還した。N-BOXは2011年末に登場し、2012~2013年度にも軽自動車新車販売台数でトップに立っており、年間チャンピオンは通算3度目となる。
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