アコーディア買収攻防、PGM“敗戦の弁" TOB阻んだレノの参戦

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そしてTOB最終日の17日の正午過ぎ、アコーディアが自己株式取得の原資として、「保有するゴルフ場10コースを150億円規模で売却することを検討している」旨が一部で報道されると、アコーディアの株価は一時8万4000円まで急騰。

最終日の正午過ぎにキャンセル相次ぐ

「個人投資家からの応募数だけでもTOB成立に十分と見ていたが、報道を受けて応募手続きをしていた個人投資家からキャンセルが相次いだ。市場での株価がTOB価格を上回ったことから、機関投資家も受託者責任から応募しにくくなった」と神田社長は説明する。

結果は、TOBの買い付け下限(保有割合で20.0%)を下回る17.0%。TOBの成否を最後に左右したと見られる「10コースを150億円で売却」の報道に対して、PGM側は、「本公開買い付けの成立を妨害する目的で何者かが行った極めて悪質な情報操作に踊らされたものではないか」とするリリースを18日に発表。被疑者不明のまま、証券取引等監視委員会への調査要請を行ったことも明らかにした。

経営統合への動きはいったん停滞も

レノからの要望に対して、アコーディアが「(PGMとの)経営統合の内容や条件等について交渉の場につく用意がある」と回答していたことから、TOB終了後はその結果のいかんにかかわらず、レノを挟むような形でゴルフ場2強が経営統合に向けての動きを始める、との見方もあった。

しかし、PGM側が今回、証券取引等監視委員会への調査要請を行ったこともあり、「統合に向けた時間軸が延びるのは間違いない」と神田社長は話す。買い付け価格を引き上げるなどしたうえで、アコーディアに対して再度TOBを仕掛けるという選択肢もありうるが、「今のところは再びやる考えはない。まず、今回のTOBについて総括するのが先」(神田社長)という。

アコーディア株を保有割合にして18%も持つ筆頭株主の登場で、ますます先が読みにくくなったアコーディアとPGMの経営統合をめぐる攻防戦。PGMの親会社である平和の出方も含め、しばらくは膠着状態が続く可能性が高い。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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