ソニー、「スライドパソコン」量産化の秘密 好調の「VAIO Duo11」、安曇野工場に行ってみた
長野県の安曇野で生産
65カ国/地域で販売しているVAIOの総販売台数は今期850万台(前期840万台)の予定。その中に占めるDuo11の比率は必ずしも高いわけではないが、その果たす役割は重要である。長野県安曇野市豊科にある生産子会社のソニーイーエムシーエス長野テクノロジーサイト(長野工場)で生産し、国内生産ならではのスペックやサービスを織り込んでいるからだ。
現在、ソニーはVAIO生産のほぼすべてのシリーズを中国に工場を持つEMS(電子機器製造サービス)に委託しており、日本で生産しているのは旧モデルの「Zシリーズ」とこのDuo11に限られる。「メイド・イン・ジャパン」を続けることの意味とは何なのか。実際に付加価値を生みだしているのかどうか。長野工場の現場を取材した。
長野工場は、モノづくりだけではなく、VAIO&Mobile事業本部の本拠地である。開発・設計部隊が品川本社から移動したのは10年のこと。現在でも販売現場に近いマーケティングや商品企画部隊は品川にあるものの、本部長以下、かなりの人数が長野工場に集結している。
04年から「@安曇野」という形で、生産現場と開発現場の一体化を進め、05年9月には薄型の「TXシリーズ」という形で成果を出した経緯がある。この組織一体化をより一層進めたのが10年だったというわけだ。その後も「Zシリーズ」、そして「DUO11」と独特なデザインのパソコンを生み出してきた。
「企画、設計、量産、調達などすべての関係者が一同に集まって、一度に話が進められる。それまでは設計→試作→評価→フィードバックという具合にループを回していたが、それと比べると時間の短縮が図れるようになった」とVAIO&Mobile事業本部PC事業部商品1部の林薫統括部長は言う。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら