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合理的な人ほど「お客は神様」と考えない 英国のバス運転手が乗客に文句を言えるワケ

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  • 山嵜 一也 建築家。山嵜一也建築設計事務所代表
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もちろん、「一度決めたことを守る」というのは、まっとうな考え方です。とても大切なことでもあります。しかし、「完璧さ」を目指した途端、「実は不要な手段をとらなくてはならなくなる」としたらムダがあります。

「一度決めたこと」は必ず守らないといけないのか

「70%でいい」――この“成熟国家の知恵”が仕事のストレスをなくす。在英12年、“ロンドン五輪会場”現場監督を担った著者が見た、日本の一歩先行く「オトナの国・イギリス」の振る舞い方。(KADOKAWA)

「変更しない」ほうがラクだということもわかります。一度決めたことを「守る」のは、柔軟に「変更」していく態度より簡単だからです。つねに問題点に立ち返り、柔軟な姿勢をもち、代替案を出していくことのほうが、より幅広い知識・経験が求められますし、タフな気持ちが必要とされる場面もあります。

そもそも、“柔軟な変更が可能である”社会の中では、そのしわ寄せは自分にも降りかかってきます。私もイギリスの建築の現場で、一度決めたものが変更されるということは頻繁にありました。だから、それなりにムダは生まれるし、やってきたことが水の泡になる徒労感もあるし、変化に対して瞬時に反応しなければならない緊張感もつねにありました。

それでも、イギリス人は、「いつでも変更していい」という考え方のほうが、長い目で見ていい結果が生まれることを知っています。

「変更はいつでも可能である」「つねに再考の余地がある」という状態のほうが健全です。これは、次のように逆から考えるとわかりやすいかもしれません。「無理が生じているのに変わらない、変われない、余裕のない社会」で生活するとしたら、どうでしょうか。息苦しくありませんか。想像するだけで、実感がわくはずです。

もしかしたらベストではないかもしれないが、何が大切なのかというゴールから逆算し、優先順位を考えたうえでの「これ“で”いい」。この余裕が、これから成熟社会になろうという日本に必要です。

イギリスはよく「成熟国」と言われますが、この言葉からは、ポジティブな勢いのようなものは感じないかもしれません。「成熟しきっていたら、なんだか発展性がなく、つまらなさそう……」と。しかし、もし私たち日本人が、どこかに行き詰まりを感じ、閉塞感を覚えているとしたら、何かを選ぶことで何かを捨てる「割り切った態度」がひとつの解決策になると思います。

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