もう一つは、単独介入である。日本政府はすでにちらつかせてはいるが、実施には、政策当局者間で「火花」が飛んでいたように、端的に言えばルー米財務長官が納得するだけの「無秩序」な為替推移が必要となる。
実際に「無秩序」の定義はない。だが、24日の為替市場は一時的には間違いなく「無秩序」だったと言えそうだ。ただ、102円30銭台まで戻していることを考慮すると、現時点での介入は、ほぼないだろう。
また、米大統領選挙の有力候補者である共和党トランプ氏、民主党クリントン氏はともに円安に対して否定的だ。仮に協調ではなく単独で為替介入を実施した場合、次期大統領候補からは猛烈な攻撃を受けることも覚悟する必要がある。
そもそも為替介入は、ドル円がこれだけ円高に振れたから実施するといった水準感よりも、「無秩序」な状態など、急激な変動を重視することが多い。
介入のないまま、再び100円割れか
2011年を最後に、政府・日銀は為替介入を実施していない(この時は一部協調介入)。そして、単独での介入は投入する資金の割には効果が得られないケースが多々見られる。今後、ドル円が1ドル100円を割り込む場面では、介入に対する期待感や警戒感が錯綜することとなりそうだが、もし24日のような「無秩序」な変動ではなく、緩やかな円高推移となれば、介入実施の大義名分は得られにくい。
ちなみに、24日午前の時点では、米国の利上げについては、おおまかにいって、「年内金利据え置き」を想定している割合が7割で、「年内利上げ」は2割弱に過ぎない。「年内利下げ」も1割いる(2016年12月14日のFOMCでの予想)。
唯一かもしれないドル買い要因である「年内利上げ」期待がほぼ剥落したことは厄介だ。昨年夏を起点とした円高トレンドは今後も継続しそうな状況だ。ドル円は下落トレンドのなか、1ドル100円割れが再び見られる可能性が高いと考える。
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