一方、為替市場に目を向けてみると(全て対円で表示)、NY時間ではドルは102円30銭台、ユーロは113円50銭台、ポンドは139円90銭台で取引を終えている。
24日の安値は、ドルが99円02銭、ユーロは109円57銭、ポンドは133円31銭。どの通貨も安値との比較では大幅に戻している。とりわけ、ドルは23日が104円だったことを考慮すると、さほど下がっていないとも言えよう。急激な売りに対する買戻しが入った可能性のほか、各中央銀行の政策に対する期待感なども影響したと考えられる。
6つの主要な中央銀行(米FRB、欧ECB、日銀、英中銀、カナダ中銀、スイス中銀の6中銀)は、6月中旬時点で、2011年に合意したドル資金供給の協調策を活用する方向で動いていた。
既に必要な場合にはいずれの通貨でも流動性供給を行うことができるようにスワップ取り決めを締結しているもようだ。2008年のリーマンショックのような流動性の低下を回避するための施策は既に打っていることから、6中銀による何らかの施策は早い段階で見られそうだ。
「為替介入」を実施しにくい二つの「理由」とは?
もし早期の金融市場安定化対策がなされれば、24日につけた主要株価や為替の安値更新は当面回避されると見る。ただ、それはあくまで応急措置として機能するということだ。しかし、市場が待望している為替介入に関して、筆者は、「実施はそう簡単ではない」と考える。主に以下の二つが理由だ。
一つ目は欧州通貨・ドル・円の微妙な関係である。仮に協調的な為替介入実施となった際、真っ先に「震源地」であるポンド、もしくはユーロが買われるような介入が行われる可能性が高い。すなわち「欧州通貨買い・ドル売り」といった構図だ。
対ドルで猛烈に売られた欧州通貨の安定を図るのは当然だろう。この介入実施によって、ポンド、ユーロは対円で買われるが、ドルと円のバランスはとても微妙だ。協調的な為替介入が実施されたことに力点が置かれ、投資家心理の改善からやや円安ドル高に振れるかもしれないが、これまでのような「ドル買い・円売り」介入と比べると影響は限定的となろう。
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