セブンのお荷物「ニッセン」が債務超過懸念 月次売上高が4割減、10月にも抜本リストラか

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ファストファッションの隆盛もあり、通販カタログを見て季節を先取りして衣服を買うという消費傾向が弱まっている(写真はニッセンのカタログ)

近年、「ユニクロ」を代表とするファストファッションの隆盛もあり、消費者が求める商品はめまぐるしく変化している。

そのため、「消費者が(ニッセンのような)通販カタログを見て、季節を先取りして衣料品を買う、という傾向が弱まっている」(通販業界関係者)。

猛暑や暖冬といった気候変動もあり、カタログのようにタイムラグの大きい販売チャネルでは、消費者のニーズに対応するのが難しいからだ。

ニッセンは2014年8月からカタログの発行回数を年5回から8回に増やすことで、販売回復を狙った。しかし、期待とは裏腹に、売り上げは前年を下回ってしまった。すると、2015年8月には再び発行回数を年5回に戻すなど、カタログ発行をめぐる迷走ぶりが目立つ結果となった。

もちろんニッセンも手をこまぬいているわけではない。2016年1月には高品質シリーズを投入し、既存顧客に根付いてきた「安売り」というイメージからの脱却に努めてきた。

並行して、インターネットサイトを全面刷新し、カタログ以外のチャネル強化も推進中だ。ただ、足元のニッセンの数字を見る限り、その効果は見えてこない。

セブン&アイが10月にリストラ策発表か

振り返ると、ニッセンHDは2014年1月にセブン&アイの傘下に入った。当時のセブン&アイのリリースによると、ニッセンHDは「セブン&アイグループのオムニチャネル戦略推進のため重要な役割を担う子会社の一つと位置づけられる」と明記されている。

だが、実際には、カタログ販売を中心に本業が苦戦したことで、グループのオムニチャネル戦略から距離を置いている。2015年11月に本格稼働したセブン&アイが運営する通販サイト「omni7(オムニセブン)」でも、ニッセンの商品は取り扱われていない。

セブン&アイは今年5月に井阪隆一氏が社長に就任し、10月にはグループの不振事業について改革案を発表する予定だ。グループ内で業績が低迷しているイトーヨーカ堂、そごう・西武に加え、ニッセンHDについても一段と踏み込んだリストラが実行される可能性が高い。

ニッセンの2016年度第1四半期末の自己資本は24億円にまで減少している(前年同期は176億円)。このままのペースで赤字が膨らめば、2016年度中に債務超過となるリスクが高く、早期の黒字化が不可欠となる。

仮に債務超過に陥った場合、1年以内に解消できなければ、東京証券取引所の上場廃止基準に抵触してしまう。今後は、親会社であるセブン&アイが株式公開買い付けを行い、完全子会社化することで上場廃止に持って行くことも考えられる。

負の連鎖に陥っているカタログ通販の悪い流れを断ち切ることはできるのか。抜本的な改革が待ったなしだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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