アローラ退任、孫社長「変心」までの22カ月 「欲が出てきてわがままで続投」は本当か?

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同年10月には孫社長の後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」の特別講義で両者は公開対談。終了後に固く握手を交わし、肩を寄せ合う2人の姿は相思相愛そのものだった。その8カ月後にアローラ氏が後継候補でなくなり、副社長を退任するとは、誰も想像できないほどだった。

どう見ても相思相愛だったかつての二人(撮影:尾形文繁)

アローラ氏はこの7月にソフトバンクの顧問に就くが、SNS「ツイッター」で、「インドの投資案件でまだ自分が面倒を見る必要がある投資先があるため」とし、顧問を務めるのは「1年限り」と明言している。1年後はソフトバンクと完全に関係が切れる。

退任が決まった今、改めて振り返ると、孫社長以外、アローラ氏を後継者と認めていた人物は実は皆無に近い。少なくとも、孫社長とアローラ氏以外の7人の取締役のうち、誰かがアローラ氏を慰留した痕跡はみられなかった。

孫社長「ロンは謙虚で賢い」

株主総会で、社外取締役を務める日本電産の永守重信会長兼社長は、「(アローラ氏が入社した)当初から(孫氏は社長を)絶対辞めないと思っていた」と明かした。

同じく社外取締役でファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も、「60歳にもなっていないのに、引退なんて冗談じゃない」と続投を支持。個人株主からも「アローラ氏は後継者にふさわしくない」といった声が上がった。

アローラ氏が3月からトップを務めてきた、海外事業を統括する中間持ち株会社の後任には、ロナルド・フィッシャー氏が就く。フィッシャー氏のソフトバンク入社は1995年10月。孫社長と20年来の付き合いがある古株だ。

孫社長は総会で「ロン(フィッシャー氏)は謙虚で賢い」と繰り返し、「私の知恵の源泉。投資活動を一緒にやって信頼関係も厚い」と持ち上げた。

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