アローラ退任、孫社長「変心」までの22カ月

「欲が出てきてわがままで続投」は本当か?

一方、退任が公になった21日、アローラ氏はツイッターで、今までで最高の投資は何かと聞かれ、「スーパーセルの株売却」と答えた。

同社へのソフトバンクの出資は2013年10月、その後も追加出資し7割強の株を握った。全株売却と受け取り済みの配当金で計8800億円を手にする。投資効率を図るIRR(内部収益率)は年率換算93%と極めて高い案件だった。

スーパーセルCEOのイルッカ・パーナネン氏(右)と孫社長。長期のパ-トナーとはならなかった(撮影:尾形文繁)

ただ、スーパーセルへの投資も、当初から孫社長がイルッカ・パーナネンCEOに、「長期的に会社の成長を支援していく」と明言していた案件である。「業績が好調な今のうちに売却しておいたほうがいい」というアローラ氏の判断が結果的に正しかったとしても、孫社長に割り切れない感情があった可能性はある。

孫社長は「ニケシュはソフトバンクにプロの投資手法をもたらした」と評価したが、2兆円弱のキャッシュを生み出せるのも、元はといえば、孫社長の独自の嗅覚で投資に至った案件ゆえである。投資効率を物差しに、半ば機械的に売却しようとするアローラ氏に対して、孫社長は自らの投資方針との乖離を感じていたのかもしれない。

ニケシュ氏に問題はあったのか?

もう一つ、退任の背景として考えられるのが、特別調査委員会の調査結果である。

ソフトバンクは今年初め、株主とみられる者から、「アローラ氏の実績や適性に疑問がある。解任すべきだ」といった申し立てを受け、アローラ氏への調査を実施。その調査は退任を発表する前日の6月20日に完了している。

結果は「問題なし」。孫社長は「ニケシュには全幅の信頼を置いており、特別調査委員会が『申し立て内容は評価に値しない』と結論づけたことをうれしく思う」とコメントを発表した。が、その翌日にアローラ氏退任を発表したため、特別調査と退任との関係が疑われているのだ。

アローラ氏は副社長就任時、ギリシャの投資先との訴訟が海外メディアで報じられたが、今回はそもそも何の調査なのか、わからない。会社側は内容を明かさず、「退任と特別調査は関係ない」とのみ主張。調査の概要や結果について「公表しない」としている。孫社長は株主からの質問にも回答しなかった。

当のアローラ氏は「クリーンチット(インドにおける『無罪証明書』)をもらった。次に向かうタイミングだ」とツイッター上に意味深長な書き込みを残している。

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