アローラ退任、孫社長「変心」までの22カ月 「欲が出てきてわがままで続投」は本当か?
裏を返せば、投資事業のトップであるアローラ氏は、孫社長の言葉に謙虚に耳を傾けなかったのだろう。今年6月に入り、中国EC大手のアリババ、スマホゲーム大手のガンホー・オンライン・エンターテイメント、同じくスマホゲーム世界大手のスーパーセルと、立て続けに株売却を決めた背景には、そうした事情があったのではないか。
フィッシャー氏への厚い信頼を孫社長があえて口にしたのは、新参者にすぎないアローラ氏への不信感の裏返しだったのかもしれない。
空席となった副社長には、国内通信など国内を統括する宮内謙氏が就任する。孫社長とアローラ氏の2人だけだった代表取締役だが、今回のアローラ氏退任を受けて、代表権も宮内氏が受け継ぐ。
投資スタンスに明確な違い
「アローラ氏には『投資には利益確定が必要』という考え方が根底にあり、利益確定が不得意な孫社長と路線の対立があったのではないか」。株主総会に出席し、孫社長に質問した山口三尊氏は、こう指摘する。山口氏は個人投資家の権利を守る活動を展開するブロガーだ。
アローラ氏は「6週間で180億ドル(2兆円弱)の現金を生み出せたことを誇りに思う」と自信をうかがわせる。これに対して孫社長は、「ニケシュが言っていたように私は(保有株を)売るのが苦手」とやや自虐ぎみに語った。
実際、6月上旬に売ったアリババ株は2000年に投資して以来、一度も売ったことがない。これは孫社長の自慢でもあった。また、売却予定のガンホー株は、99年の出資だ。同社の看板ゲーム、『パズル&ドラゴンズ』の人気はピークアウトしており、株価も大幅に下落している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら