アローラ退任、孫社長「変心」までの22カ月 「欲が出てきてわがままで続投」は本当か?
そもそも「後継者候補」という孫社長の言葉を、額面どおりに受け取ってもよかったのだろうか。
アローラ氏がグループ入りした14年当時、孫社長は米携帯大手TモバイルUSの買収を米政府当局に阻まれようとしていた時期だ。「自信をなくし間違った手を打ってしまったとずいぶん後悔した。寝られない夜を過ごした」。意気消沈していた孫社長の言葉である以上、割り引いて聞くべきだったのかもしれない。
社外取締役の永守氏は「孫社長の言うことは、ホラとウソの混ざったようなものだから、あまり信用しないほうがいい」と語る。これはソフトバンクの株主に向けた発言だったが、アローラ氏に忠告しているようにも聞こえた。
「わがまま」が本当なら、今後の人材獲得は困難
アローラ氏は総会に取締役として列席しなかったが、冒頭、孫社長に促され、演壇の袖であいさつ。「孫社長はどんどん若返り、今後5年、10年とソフトバンクを牽引する情熱とエネルギーを取り戻した」と苦笑いを浮かべた。
10分足らずの発言を終えたアローラ氏だが、孫社長への会釈もなく、舞台を去った。孫社長はその消えゆく背中に「サンキュー、ニケシュ」と小さな声で語りかけた。
19歳のとき「60代で社長をバトンタッチする」と決めた孫社長。今回、60歳で潔く禅譲する考えを改め、69歳まで延長する。これによって後継者問題は当面先送りされた。
しかし、今後アローラ氏のような超トップ級の人材を、再び招聘することはできるのか。「自分のわがまま」(孫社長)で後継候補を失った結果、人材獲得の道を自ら狭めてしまった感が否めない。
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