自国防衛費を「ケチる」欧州諸国は卑怯だ

NATOで応分負担しているのは5カ国のみ

さらに、ラトビアは防衛費にGDPの1.06%しか充てていない。バルト3国はプーチンの戦車がいつでも国境を混乱に陥れる可能性があると内心では考えているのかもしれない。しかし、そうした懸念は、軍事的な姿勢にまったく反映されていない。

米国の指導者は、ドイツのメルケル首相とも激論を交わす必要があるだろう。ドイツは欧州で圧倒的な経済大国で、GDPは4兆ドルに迫る。しかし2015年にドイツ政府はGDPの1.18%しか防衛費に費やしていない。

ドイツの軍備の現状も誇れるものではない。ドイツの軍用輸送機は必ずしも離陸可能とは限らず、ドイツ軍は多くの戦車やヘリコプター、戦闘機が地上に留め置かれてしまうかもしれないと認めている。特に困った例としては、2014年のNATOの大演習中にドイツ軍部隊は、重機関銃が不足したため、箒の柄で代用した。

さらに、NATOがロシアと対峙しているとはいえ、ドイツ政府にはロシアのガス独占企業ガスプロムと取引関係がある。昨年9月、ガスプロムと欧州の企業群は、独露間を直接つなぐ天然ガスパイプライン建設に合意した。

7月の首脳会議は絶好の機会だ

こうした取引は西側の対露経済制裁の効力を弱めかねない。このような自国の利益にとらわれた行動があれば、米国の政策立案者は現在のNATOの構造が米国の国益に実際にどの程度貢献するのか、じっくり考えることになるだろう。7月にワルシャワで開催予定のNATO首脳会議は、その絶好の機会になり得る。NATOは軍事同盟であって、読書会ではないのだ。

米国にとって頭痛のタネは、ロシアのプーチン大統領(写真)だけではないようだ。サンクトペテルブルグで4月に代表撮影(2016年 ロイター)

米国はNATOの同盟国に対し、自国の防衛費増額を真剣に考える時期に来たと伝えるべきだ。米国以外のNATO加盟27カ国のすべてがGDPの2%という目標を達成すれば、1320億ドルの防衛費が追加され、NATO全体の能力を十分に高めるインパクトがある。

目標達成を確実にするため、2%目標が未達の23カ国に対しては、今後5年間でこの目標を満たせない場合、米国に安全を保障される権利を失うリスクがあると伝えるべきだろう。極端なようだが、こうすれば少なくとも、欧州側の関心を集めることにはなる。

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