自国防衛費を「ケチる」欧州諸国は卑怯だ

NATOで応分負担しているのは5カ国のみ

オバマ大統領はまた、バルト3国、特にリトアニアとラトビアの指導者と個別に協議する必要がある。この3国にとっては、同じく国外からの危機に直面しているイスラエルが参考例になるだろう。同国は人口800万人ながら16万人の常備軍を抱え、GDPの5%強を防衛費に回している。

一方で、計600万人の人口を持つバルト3国の常備軍は計2万2000人だ。血と財力を費やすリスクを冒して米国に守ってもらいたいのならば、常備軍を計8万人規模まで増やすべきだ。さらにリトアニアとラトビアは、エストニアに続いて、GDP2%目標を達成する必要がある。

「欧州共同軍」創設を後押しせよ

最後に米国は、欧州委員会のユンケル委員長が提唱した、NATOとは別の欧州連合(EU)による共同軍創設構想を強く支持すべきだ。同委員長は「独自の軍を持てば、欧州はEU加盟国や隣接諸国の平和に対する脅威にもっと確実に対処できる。ロシアに対しても、われわれが欧州の価値観を守ることを真剣に考えているとの、明確な意思を示せる」としている。

米国の立場からすれば、これは完全に筋が通っている。欧州共同軍が創設されれば、米国はオバマ大統領が提唱した「アジア回帰」政策を、もっと効率的に実施できるようになる。確かにEU内部で数多くの対立がある現状からして、欧州共同軍の創設には無理があるかもしれない。だが、米国にとっては、各国に働きかけて後押しすべきものではあるのだ。

米国はNATOの同盟国を見捨てる必要はない。しかし、応分の負担を求めるべき時期ではあるのだ。

                     (敬称略)

筆者のジョシュ・コーエン氏は、旧ソ連の経済改革に米国際開発庁のプロジェクトオフィサーとして関わっていた。このコラムは同氏個人の見解に基づいている。

 

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