「円安・株高・債券安」の進行は終了へ 市場動向を読む(債券・金利)
市場は「アベノミクス」の行方を巡って、安倍発言や自公の政権公約を手がかりに次のような具体策を想定してきた。
財政政策では、従来型の公共事業よりも、自民党が国土強靭化、公明党が防災・減災ニューディールと称する“老朽化インフラの更新投資”に重点が置かれる――。実際、安倍自公政権は今月、公共事業や地方向け臨時交付金の積み上げなどを柱とする12兆~13兆円規模の大型補正予算を編成する予定だ。財源調達は主に国債(財投債を含む)の増発に依存し、前・民主党政権が財政健全化の一つの目安としてきた「新規財源債44兆円枠」の突破が既定路線と化している。
金融政策は、先月の衆院選で異例なことに最大争点の一つとなった。安倍政権が主張するのは、「物価目標2%」達成に向けた政府と日本銀行の連携強化と日銀による前例のない大胆な金融緩和の断行だ。これも実際に、日銀はかつてない政治圧力の強まりを受けて、12月20日の政策委員会・金融政策決定会合で、中長期的な物価安定やインフレ目標政策について、「13年1月の次回会合で検討する」と表明せざるを得なくなった。
「財政ファイナンス」を意識した債券市場
こうしたなかで各市場は、『建設国債をできれば日銀に全部買ってもらう』(昨年11月17日)という安倍発言や「12・16衆院選」における自公の計325議席という歴史的大勝を勘案し、「アベノミクス」によるリフレーションや日銀による財政ファイナンスの現実味を意識するようになったようだ。
ところで、リフレ(ーション)とは、デフレ を脱してインフレになる前の経済状況のことである。巷では“脱デフレ”とも言われている。表現はともかく、物価の先行きを巡る市場の期待形成はそのとき、デフレからリフレ(脱デフレ)へと変わり、市場金利が内包している期待インフレ率が持ち直す。
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