原発、再稼働理解求める「前線基地」の重責 不安解消へ「少人数でもご案内します」
理解活動は現地に限らない。佐賀支社では女性社員35人によるチームが出前講座を開き、「フェース・トゥ・フェース」で女性や高齢者と顔を突き合わせる。5年前の「やらせメール」問題で失った信頼回復に全力を傾けている。
背景には新規制基準適合審査後の「地元同意」をスムーズに取り付けたい思惑がある。
審査は予想をはるかに上回る長期戦に
その審査は、九電が思っている以上にはかどらない。「当初は6カ月くらい」と見ていた3、4号機の審査は申請からすでに3年。昨年8月に全国の先陣を切った川内原発(鹿児島県)の再稼働後は「玄海シフト」で審査対応人員を集中させている。今年5月末で審査会合は54回、規制委のヒアリングは283回に上る。
昨年末には、再稼働後に川内の免震重要棟建設を撤回する方針転換を表明し、規制委の反発を買った。玄海も同様の方針を明らかにし、耐震施設に変更しても対応できる説明を重ねて求められている。加えて4月、熊本県内で震度7を2度観測した熊本地震により、九州の原発に対する住民の不安は再び増幅している。
玄海原発対策住民会議事務局長の成冨忠良さん(74)=唐津市=は「九電のフェース・トゥ・フェースの姿勢自体は否定しない。だがどうしても限られた人数になる」と指摘し、「賛成、反対はあって当たり前。だからこそ再稼働前に公開討論会をすべきだ」と訴える。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は6月初め、玄海原発の審査を大飯原発(福井県)より優先する考えを示した。参院選を前に、再稼働に向けた動きが加速している。
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