善意が暴走するPTAと町内会は変われるか 数々のナゾに挑戦する2人に聞く

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そのお父さんたちが集まると、「あいつ(子どもの名前)は、最近こんな様子だ」みたいな話で、超盛り上がっているんです(笑)。それはそれで、なんだか羨ましい。よそのおうちの子どもの成長を、そんなふうに感じられるというのは、人生の中ですごく素敵なことなんじゃないかな、と思います。

“下請け”させたい行政に「ノー」!

紙屋:町内会で、僕はちょっと警戒していることがあります。行政には「防災とか防犯とか、いろんな仕事を、なるべく町内会に下請けさせたい」という、ある種“邪悪な意図”があるんですね(苦笑)。

たとえば、うちのほうの自治体では、最近よく「高齢者の見守りをやってください」ということを町内会に言っています。

介護にしろ、防災や防犯にしろ、行政には公的な責任が明確にあります。そこをあいまいにして、「地域みんなで担おう」という美しい言葉で、本来行政が負うべき部分を担わせようとすることが、時々ありますよね。

ボランティアをする側は、そこに気をつけて、いい緊張感を持って臨まないと、どうしてもいいように使われてしまいます。実際に今、町内会の人たちは「地域を担っていかなきゃ」という善意によって、一生懸命、自らそこに巻き込まれていく、という様相になってしまっている。

PTAについても、同様の面があると思うんです。国の審議会の報告や、いろんな自治体の教育委員会が出しているPTA活動のガイドラインのようなものを見ると、家庭教育や、学校の外での指導や補導、地域の浄化など、みんな「PTAが担ってください」と言っています。そういったことは、ありましたか?

山本:昔からありますよね。行政は、できることはなるべく地域にふろうとしている。でも僕らは、PTAが受けていた区からの委託事業をやめました。

紙屋:え、どんなことですか?

山本:ひとつは「校庭開放」です。平日の放課後や土日に、学校の校庭を地域の人に開放する、という事業を区がPTAに委託しているんです。活動補助費みたいなものも、いくらか出るんですね。

でもお母さんたちに話を聞くと、保護者は大変なんです。毎回必ず2人、校庭の当番を立てなければいけない。放課後はまだ、子どもたちが来るからいいけれど、寒い時期だと土曜日なんてだれも来ない。それなのに、お母さんだけが必ず2人立っている、なんていうことがザラにある(苦笑)。

これはおかしい、ということで、校庭開放の説明会のときに、「すみません、これは止めることはできるんですか?」と質問してみた。そうしたら、区の担当者は「いやいやいや、この事業はこういう経緯で」とか、ぐちゃぐちゃ言うんですが、「だから止められるんですか?」と重ねて聞いたら、「(各PTAの)判断で止められます」というので、やめました。

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