海外ビジネスエリートはなぜ演劇を学ぶのか

「アクティブラーニング」の本質がそこにある

米国では少なくとも20年以上前から「アクティブラーニング」という言葉が使われていたことになる。これに対し、日本の教育界にはあまり普及しておらず、つい最近になって急速に使われるようになった。

そのためか、日本ではまだまだアクティブラーニングが何かの理解はまちまちで、手法についても手探りの状態だ。よくあるのは、授業に議論を取り入れる、プレゼンをさせることなどで、アクティブラーニングとするというやり方だ。

ただ、それだけでは十分とはいえない。たとえば、議論の場で、何も発言せずに黙っている生徒がいるとしたら? プレゼンの場で、下を向いて台本を読み上げるだけの生徒がいたら? 逆に、教師が話すことを、夢中になって書き取って、わからないことは何でも質問にくる生徒の場合は?

形式を変えるだけでは主体的・能動的に学ぶ授業とまでは言えない。意識を変えて初めて、議論やプレゼンがアクティブラーニングになるのだ。

では、いったいどうすれば、メソッドとして浸透するだろうか。ここで、一歩先を行く世界の教育現場の事例をご紹介したい。

MIT、スタンフォードがやっているインプロ教育とは?

マサチューセッツ工科大学(MIT Sloan School of Management)、スタンフォード大学(Stanford Graduate School of Business)など、世界の一流ビジネススクールで重視されているのが、“improvisation(インプロビゼーション)”だ。「インプロビゼーション」とは、「即興」を意味する。

MIT Sloan Management Reviewに今春掲載された“Learning the Art of Business Improvisation”という記事にも、急速な変化への対応とイノベーションが求められるビジネスシーンにおいて、クリエーティブに問題解決を行っていくためには、インプロが必須と書かれている。

インプロは、音楽や演劇の世界では、当たり前のように行われてきた。特に即興演劇では、個人や集団が、ステージで直感的に自発的に振る舞うことが、創造的な状態だと見なされるという。

また、ステージは、幕が上がれば、下げることはできない。一度始まった舞台進行を止めることはできないため、何があってもステージに立ち続けなければならない。たとえ、突然セリフを忘れてしまったとしても、流れるはずの曲が演奏されなかったとしても。

だからこそ、インプロを活用した教育は、創造性を養うだけでなく、想定外への対応力を高めるために有効だ。

次ページ世界のエリートたちが受けるインプロ教育の中身と効果
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
会計新基準<br>「売上高」が変わる

売上高が6割減にもかかわらず、営業利益は増えた企業も現れた。会計の新基準を適用した結果だ。全産業にかかわる過去最大の基準変更が今年から徐々に広がっていく。