海外ビジネスエリートはなぜ演劇を学ぶのか 「アクティブラーニング」の本質がそこにある

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では、実際にはどのような授業が行われているのだろうか? あくまで一例だが、過去にMITで実施された内容をいくつか見てみよう。

ヒップホップ、アフリカンドラム、パリのクラブ音楽など、次々と変わるBGMに合わせてダンスする
唐突に流れる音楽に合わせて踊ることで、臨機応変に対応するメンタリティを整え、より高度なインプロを行う下地を整える

 

シェイクスピアの『ヘンリー五世』のセリフをおぼえて演じる
力強く、明朗快活なリーダーを演じ、なりきる。演じる人が瞬間的にどう表現するかによって、各人各様のリーダーシップが浮き彫りになるインプロだ

 

3日間にわたって、ボスニアの平和維持を想定したシミュレーションを行う
たとえば、NATOの立場で交渉を進めるケースの場合は、一歩間違えれば、人的被害を引き起こすなど、リアリティを追求したインプロとなる

 

同大学の研究によると、このような演劇教育、インプロ教育の効果として、次のようなことがわかっている。

1) 急な変更や変化に対して、ポジティブにとらえるようになる
2) プロジェクト進行の際、頻繁にミーティングを行うようになるなど、チームワークが向上する
3) すばやい判断、決断を行われるようになり、プロジェクトマネジメントがより円滑になる

 

インプロのスキルは、その人が持って生まれた能力だと思われがちだが、訓練によって習得することができるため、「未知」の事柄に取り組むための学問だとも言われている。

地図よりもコンパスを持て

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Compasses over Maps(地図よりもコンパスを持て)。AI(After Internet)時代に求められる基本原則として、MITメディアラボが発信した9つのフレーズのうちのひとつだ。

急速に変化する世界の地図はすぐに書き変わってしまう。先を見通すことができない時代だからこそ、地図を作るのに時間とコストをかけるのではなく、自分の中にコンパス(羅針盤)を持つべきという考えだ。

アクティブラーニングとは、まさにこの「コンパス」を持つための学びだと言える。だからこそ、名門大学は「演劇」という基盤の上でのインプロをカリキュラムに組み込むのだ。

日本のこれからの教育、ビジネスを考えていくにあたっても、日常生活を送るにあたっても、世界の超一流がやっている「アクティブラーニング」から学べることは多い。

相川 秀希 日本アクティブラーニング協会 理事長

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あいかわ ひでき / Hideki Aikawa

早稲田塾創業者。日本アクティブラーニング協会理事長。株式会社サマデイCEO。株式会社アドミッションズオフィスCEO。教育革新のための情報発信メディア EducationTomorrow編集人。自社開発のポートフォリオシステム「Feelnote」が文部科学省/JASSOの官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」に採用。オリジナルのアクティブラーニング・ワークショップが、各種教育機関をはじめ、大手テーマパーク・金融機関・コンビニエンスストア・人材開発コンサルティング企業などの主要な人材開発研修として取り入れられている。ロックフェラー財団 ACC(Asian Cultural Council)メンバーも務めている。著書に『日本一受けたい授業』(水曜社)、『頭が良くなる青ペン書きなぐり勉強法』(KADOKAWA)、『超一流はアクティブラーニングを、やっている。』(東京書籍)がある。

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