安倍首相が有楽町での街宣を取りやめた理由 自民党は野党4党の動員力を恐れている
街宣に野次は付きもの。過去にも反対派が過激な野次を飛ばすのを見かけたことはあった。2012年12月の衆院選の時には、政権政党だった民主党は各地の街宣会場で、右翼と思われる集団によって「売国奴」と罵られ、「民主党が早くなくなりますように」と書かれたプラカードが掲げられており、逆風を象徴づけていた。
ただ反民主党を訴えていた集団は「愉快犯」のような一面もあった。目立つパーフォーマンスを行い、話題の主となることに快感を得ている面々も多かった。しかし今回は愉快犯のような様相はない。個人を超えた集団の“怒り”というものを感じざるをえなかった。
舛添問題の後遺症
安倍首相を悩ますものはまだある。舛添問題の後遺症だ。「我々が推薦した候補者がこうした結果になって、都政に混乱をもたらし、都民のみなさんにご迷惑をかけたことに対しては、自民党総裁としてお詫び申し上げたいと思う」。
午前7時半からのテレビ討論会と午後の吉祥寺での街宣で、安倍首相は舛添要一東京都知事の辞職について都民に謝罪した。その言葉からは、内閣支持率も政党支持率も安定した高水準を維持しながらも、対応を誤れば瞬時に打ち捨てられかねないとの強い危機感が伺える。
では自民党は劣勢になるのかといえば、決してそうではない。有楽町で自民党が勝てないと思ったのは、あくまで「市民団体の動員力」だ。確かにあの熱気は、野党4党と市民団体が結集してこそ作ることができたものだ。各野党、市民団体がそれぞれ動いても、決してあそこまではいかないだろう。
果たして、野党が結集することで生まれるパワーは、自民一強を終わらせることになるのだろうか。参院選は政権選択の選挙ではないため、衆院選よりも地味に思われがちだが、今回の参院選は今後の政治に重要な意味を与えることになりそうだ。
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