日経平均は震災後高値の1万0300円台乗せ
次は震災前終値の1万0434円抜けるか

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27日の東京株式市場は、昨日の新政権発足に伴う金融緩和期待と円安傾向が一段と加速していることを受けて、3日続伸。大引けの日経平均株価は前日比92円62銭高の1万0322円98銭、TOPIXは同6.38ポイント高の854.09となった。

終値ベースでは、日経平均は年初来高値の1万0255円(3月27日)を9カ月ぶりに更新。1万0255円は2011年3月11日に発生した東日本大震災後の高値でもあるため、震災後高値も更新した。取引時間中には1万0376円の高値をつけており、大震災当日のザラバ高値1万0378円にあと2円まで迫った。

大引けでの東証1部概算の出来高は34億6904万株、売買代金は1兆6146億円と、市場エネルギーは大納会を翌日に控えて活況が続いている。

前日の米国株式市場は、年末商戦が伸び悩んでいるとの報道を嫌気し、クリスマス休場を挟んで3営業日続落となった。しかし、1ドル=85円台後半まで円安が進んだこともあり、本日の東京株式市場は先物が先行する形でスタート。前場の日経平均は前日比64円高の1万0295円で寄り付き、11時29分には本日の高値である1万0376円まで上げ、1万0370円で前引けを迎えた。

東京市場よりも遅れて始まったアジア株式市場では、上海が伸び悩んでいるものの、香港、台湾、シンガポールはしっかり。また、昼のバスケット取引は466億円成立し「売り買い均衡」と伝えられた。

後場寄りの日経平均は前日終値比138円高の1万0369円と前引けとほぼ同水準でスタート。後場寄り直後の12時34分には1万0373円まで上げたものの、前場の高値1万0376年は抜けないまま、売り物に押される形に。13時33分には1万0306円まで突っこんだが、押し目買いに支えられ1万0300円台を維持したまま大引けを迎えた。

東証33業種別では、30業種が値上がりし、値下がりは3業種。上昇率トップは紙・パルプで、以下、海運、証券、農林水産と、このところの上げ相場で出遅れた業種が目立った。下落したのは円安がデメリットになる電気・ガスを筆頭に、医薬品、建設が続いた。東証1部の値上がり銘柄数は1012(全体の60%)、値下がり銘柄数は574(同34%)、変わらずが110銘柄だった。

明日28日は今年最後の取引となる大納会。米国の「財政の崖」問題や、東京市場での過熱感などマイナス要素も見受けられる中、震災前日の11年3月10日の終値1万0434円を抜けるかどうかなどが、焦点になりそうだ。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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