「架線なし」蓄電池電車が世界で増える理由 鉄道もハイブリッドなど次世代型になった!

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蓄電池電車、バッテリーパワードトレインと呼ばれるこれらの車両は、日本以外のアジアや欧州でも走っていることが、ハイブリッド車両とやや異なる。しかも欧州と日本とでは、蓄電池を搭載した理由が大きく異なっている。

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ニースのLRTは、広場を走る区間には架線がない(筆者撮影)

まず紹介するのは、フランス南部の観光都市ニースのLRT(次世代型路面電車システム)だ。ニースには地下鉄がないので、2007年に開業したこのLRTとバス、サイクルシェアリング、カーシェアリングなどが都市交通を担っている。

ニースのLRTは1路線で、V字を描くように市内を走っている。このうち海岸に近いマッセナ広場と、旧市街近くのガルバルディ広場の2か所は、路面電車でありながら架線がない。いずれも距離は500m足らずなので、惰性をつければ走破できそうではあるが、急停車した際には再起動が不可能だし、広場に隣接して停留場があるので、動力源は不可欠だ。

そこでニースのLRT車両は、蓄電池を積んで走りながら充電を行い、架線がない区間ではその電力を使って走る。使用するのはリチウムイオン電池より安価で性能が安定しているニッケル水素電池で、性能は27.7 kWhとなる。

当初ニースのLRTは、2003年に開業したボルドーのLRTのように、2本の線路の間に架線を埋め込んだ、地下鉄の第3軌条に似た方式が考えられた。しかしこの方式は、全線に架線を埋め込まなければならず、コストが掛かる。そこでニースでは蓄電池を積み、架線のない区間を最小限に留めた。

景観に配慮して蓄電池電車に

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ニースのLRTは、架線がある区間でも目立たないように配慮している(筆者撮影)

ではなぜ架線がない区間があるのか。景観のためだ。都市交通は都市の景観の一部を成す。よって建物と同じように、景観に溶け込む造形や色彩であることが求められる。とくに広場は、文字どおり広い場所であることが大切であり、それは頭上においても例外ではない。こうした考えから架線撤去に行き着いたようだ。景観を大切にするフランスらしい考え方である。

ニースのLRTは、架線が張っている場所でも、可能な限り細いワイヤーを使用するなどして、景観を害さない配慮をしている。車両も石造りの建物に溶け込むようなカラーだ。車両からインフラまで、世界的な観光地にふさわしいデザインをまとっているという印象を受けた。

ニースに似た方式は、台湾の高雄でも導入されている。こちらは世界で初めて、全区間を蓄電池で走行するLRTであり、停留場ごとに充電を行っている。欧州に比べると景観への配慮がいまひとつという印象を受けるアジアの台湾で、この方式が採用された点は興味深い。

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