マイクロソフトのリンクトイン買収は無駄か 260億ドルの元を取るのは容易ではない
米マイクロソフトのナデラ最高経営責任者(CEO)は、慎重主義を放棄したのかもしれない。マイクロソフトがビジネス向け交流サイト(SNS)のリンクトインを260億ドル余りで買収することに合意した。
企業用コンピューターと社員間の情報交換ツール提供という市場において、マイクロソフトが失いつつある影響力をこれによって復活できる可能性がある。ただし欠陥を抱えた事業に50%のプレミアムを支払うことで、先行きが危ぶまれる面も出ている。
マイクロソフトの狙いは
かつてマイクロソフトは、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」と統合ソフト「オフィス」のおかげで企業用コンピューター市場の急所を押えることができた。
ところがクラウドとモバイル機器が発達したため、この市場はまず他のOSに、続いて新たな統合ソフトに開放されることになり、マイクロソフトの収入が脅かされる事態となった。同社が進めるユーザーをクラウドベースに移行させる取り組みは収益を後押しするだろうが、市場における従来の支配的な地位が他社からの攻勢にさらされていることに変わりはない。
マイクロソフトにとってリンクトイン買収は企業と社員、とりわけこれから入社しようとしている人たちが交流に利用している、よく知られたネットワークを握るという意味だ。リンクトインのサイトをマイクロソフトのクラウドコンピューティングプラットフォーム「アジュール」上でオフィスやスカイプといった各種ツールとともに円滑に運営するというのが全体的な構想になる。