マイクロソフトのリンクトイン買収は無駄か 260億ドルの元を取るのは容易ではない
しかしリンクトインは問題を抱えている。1年足らず前まで、リンクトインの株価はマイクロソフトの買収提示額である196ドルを30%近くも上回っていた。その後業績見通し悪化や大規模なシステム侵入による評価失墜、収入をもたらす半面ユーザーを困惑させている新機能などが打撃を与えている。リンクトインの取締役会が身売りを決断したのはつまり、単独経営を続けても今後にさしたる妙味がないことの表れだ。
一方でマイクロソフトがこれまで成し遂げてきた合併・買収(M&A)にも疑問が付きまとう。既にノキアに支払った95億ドルは実質的に全額減損処理された。2012年にもインターネット広告会社アクアンティブの買収総額63億ドルをほぼそっくり減損処理している。
買収の元を取るのは簡単なことではない
これらの案件はバルマー前CEOが契約しており、ナデラ氏はもっと用心深いのだと今後判明するかもしれない。それにしてはリンクトインの買収はマイクロソフトが試みてきた案件としては最大規模だ。特にリンクトイン側のアドバイザーを務めたフランク・クアトローネ氏率いるカタリスト・パートナーズが法外に高い金額を設定することで有名なだけに、マイクロソフトが元を取るのは簡単ではない。
両社の合意発表文が空虚な言い回しで埋められている点も看過できない。ナデラ氏は、この統合が「地球上のすべての人や組織に力を与えることを目指す中で」成長を押し上げることができると主張。リンクトインの共同創設者で取締役のリード・ホフマン氏によれば「本日は再生の瞬間」だそうだ。統合がもたらす財務上のメリットを具体的に示す記述は心配になるほどに少ない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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