「地方移住」ブームに浮かれる面々にモノ申す すごい人のモデルケースは参考にならない

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企業が集まれば、当然人も集まります。そうなれば、そこには新しい飲み屋やカフェ、雑貨店など、住人の生活にまつわるさまざまな需要が生まれます。うまくいっている都市に移住すれば、当然、経済的恩恵を得られる可能性は高い。

米国人は、仕事があるかないかはともかく、えいやっと引っ越しをするんだそうです。日本では仕事ありきで住む場所が決まるというのが常識ですが、それを無視してまずは引っ越してみる 。

なぜかというと、ダメならまた引っ越すという選択肢もあるからです。住む場所を自由に変更できる人は、これからの時代で有利になってくる。

引っ越しの多い人ほど成功する可能性は高い

常見:ただ米国は広大だから選択肢が多く、実現可能性も高いでしょうけど、日本だと難しいのでは?

速水:そうですね。日本では、地方から大都市への移動、もしくは大都市間の人口移動が大半で、中規模都市間での人口移動は極端に少ないんです。でも、日本でもかつてのように農業やモノづくりに根付いた職業社会は失われつつあるので、移住型社会になっていく可能性は高いと思います。ちなみに、日本人の生涯移動回数は、4から5の間ですが、米国では、20回弱と言われている。

常見:米国人はそんな引っ越ししているんですね。

速水:米国人は、あらかじめ勤め先を決めずに引っ越ししまうんだそうです。仕事ではなく、むしろ都市ありき。そんな住む場所の好き嫌いで移住するような考え方は、僕は日本でも進めていっていいんじゃないかと思っています。

常見:興味深い発想です。

速水:地方移住するためには、その地方に産業がないとダメという話がいつも堂々巡りしますが、人を集めることができたらそこには少なくともサービス業ができるんです。飲食業を自分で営みたい人も増えていますよね。

カフェ、天然酵母のパン、オーガニックなレストラン、クラフトビールの店。こうした飲食店は、家賃が高い場所よりも、地方のある程度の集積のある都市の方がリスクなしで始められます。そういう新規のサービス業をふまえた移住希望者へのアピールなんかは、もっと明確にやってもいいんじゃないですか。

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