バーへは、ひとりで行こう―女性編 女だって、ひとりバー。

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店名は、あこがれのスターから。そして、感動の出会い。

店名のHollyは、大好きなカナダの著名ジャズシンガー、Holly Coleにちなんで、つけました。映画、バグダッド・カフェのテーマ曲、Calling Youのカバーで、日本でも一躍有名になったアーティストです。

縁あって、オープンの年に、音楽評論家の中川ヨウさんの案内で、Holly Cole本人が来店してくれたとき、「なぜ私の名前をこのバーにつけたの?」と、理由を聞かれました。

ありのままを答えました。わたしが、就学前のひとり娘をかかえて、仕事にも家庭にも行き詰まっていたとき、娘が寝静まった後で、毎晩のようにワインやウィスキーを飲まずにはいられなかったころ。

「ラジオから流れてきた(そういう時代でした)あなたのCalling Youが、とても力をくれた。なので、店の名前を考えたときに、わたしも、同じように、働く女性たちの力になれるようなバーをつくりたい、ならば、あなたの名前「Holly」しかない、と思い、決めた」と。

Hollyさんは、カナダのみならず、世界中にファンがいるスターですが、実は苦労人です。

カウンターで、ハバナクラブのコーラ割り(翌日、NHKの生番組に出るからと、軽めにしないと、とおっしゃって。ほんとうは大好きなウィスキーが飲みたかったんだと思います)を片手に、こう語ってらっしゃいました。

「デビューが決まった直後、自動車事故にあって、不思議なことに、そのときに同乗していた女友達みんなが、それぞれの仕事でいちばん大事な部分に重傷をおったの。ダンサーの子は足、わたしは顎…」

お母さんの献身的な看護で、なんとかもと通りに歌えるまでに回復したそうですが、一度絶望の淵に沈んだ経験があるからでしょうか、Hollyさん自身も、その音楽も、弱さを抱えたひとたちに常にやさしく、「またがんばろう」と、明日への勇気を与えてくれる魅力があります。

1月には、Holly Cole初めてのライブCD&DVD、「ベスト・ソングズ~ライヴ」が日本でも発売されるそうです。ツアー中に去年の震災を体験したHollyさんの、日本人へエール送るメッセージも収録されています。

その発売に合わせて、2年ぶりのブルーノート東京でのライブも。

いま思えばドラマチックな、震災の前日、メンバーたちと飲みにきてくれたとき以来の再会、わたしもとても楽しみにしています。

 

ワーキングマザーこそ、ひとりバー。

「それどころじゃないのよ」、「子供のことを考えろ」など、いろいろなお叱りをいただくことを承知で、わたしが今、心から申しあげたいことは、いまの日本で、いちばん「ひとりバー」を必要としているのは、働きながら子供を育てている女性たち、なのではないかということです。

以前は、女性のひとり客をほとんど見かけなかった、焼き肉、ラーメンなどの専門店にも、いまは、若い世代だけではない女性のひとり客が、ふつうにくつろいで食事をしています。

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