三菱商事の主力部門シンガポール移転のワケ

大手商社も「さらば日本」で空洞化に拍車?

 日本政府は実情をわかっていない

日本政府は法人税を下げる下げるといって、やっと2011年に5%下げた。と思ったら、東日本大震災復興のための復興特別法人税を、日本企業の「弱み」に付け込んだわけではないだろうが、追加、新設した。

あまり誉められた言い方ではないが、人をばかにするにも程があるのではないか。政府は国内しか見えてないから、この10年で日本の企業がどれだけ国際競争力を無くしているのかわかっていないのである。

日本の半導体産業、液晶パネル産業、化学材料産業は、技術的には世界ナンバーワンであったはずだ。だが税制面での競争力がないことも不利に働き、韓国、台湾、中国に負けてしまった。技術立国日本のハイテク産業が負け組になったのは、明らかに国策の失敗である。

また、鉄鋼産業も、今は何とかシームレスパイプや高張力鋼板などの高付加価値化による技術的優位性でかろうじて生き残っている。

だが、法人税制面ではやはり優位な状況ではない。自動車産業も同様で、ハイブリッドカーや電気自動車などの高品質車による技術力と海外消費地での現地生産、低人件費国への生産シフトでしのいでいるが、韓国車や中国車やインド車の猛追がすでに始まっている。

法人税を下げないかぎり、空洞化がますます進む

日本の法人税実効税率が約40%に対して韓国の法人税は約24%、中国は約25%、ドイツ約29%、イギリス28%、フランス約33%である。アメリカも約40%だが、州によっては35%のケースもある。日本では昨年、いったん35%台に減額されたが、12年度以降の3年間は法人税額の10%の復興特別法人税が課されるから、何のことはない。企業にとってはさらに重税感は増している。

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