10代の過激化、なぜ米国は止められなかったか

両親も周囲のコミュニティも止められず

最初の面会の後、マジッド氏は叔父の家にいるアミンに連絡し、モスクが主催する1週間のキャンプに参加しないかと誘った。スポーツやハイキング、カヌー漕ぎ、さらにはイスラムに関する講義を含む、ティーンエイジャーを対象とした春の恒例行事である。キャンプの後、アミンは両親のもとに戻った。

マジッド氏は、アミンのようなティーンエイジャーに対するカウンセリングの訓練を受けた、米国内でも数少ない人材の1人である。「アリとの時間が十分だったかは分からない」とマジッド氏は言う。面会は1回、電話で言葉を交わし、キャンプでの交流があったきりだ。「たぶん、彼を変えることもできたとは思う」。

ISへの傾倒

元タリバンの徴募担当者で、現在は大学の博士課程で過激主義へのムスリムの介入を研究するムビン・シャイク氏は、2014年にアミンとネット上で言葉を交わしている。シャイク氏は2010年以来、オンラインで過激主義者との交流を続け、彼らの意見を変えようと努力している。

裁判所の記録によれば、アミンのツイッターのタイムラインには、ビットコインを利用してISに献金する方法がつぶやかれていた。オンラインでのセキュリティ確保や暗号化についてのアドバイスも提供していたという。

アミンは2015年、裁判官への供述書のなかで、「これまでの人生で出会った大人たちは、適切な答えを与えてくれなかった」と書いている。「非常に大切で重いテーマに関して、初めてまともに相手にしてもらえるだけでなく、実際にアドバイスを求められているのだと感じた」

シャイク氏はアミンの様子を知ろうとして、2014年4月にメッセージを送っている。この時点でアミンはすでに2カ月にわたってFBIの監視対象となっていた。アミンは、自分と話をすることについて政府機関がマジッド氏と「対立」していたことを知っていると話していた。「自分は何か疑わしいことを企んでいたわけではない。今のところ、よい人間になり、法律上の問題は避けようとしているだけだ」と書いていた。

その夏、ISは2人のジャーナリストの斬首刑を行い、米国はイラクとシリアで空爆を実施した。

米国では、セントルイス郊外のファーガソンで非武装の黒人ティーンエイジャーが白人警官に射殺された事件をめぐる、抗議行動や暴動の発生が報道の中心だった。アミンはこうつぶやいている。「アラーがファーガソンで正しいジハードを呼び掛け、人々をイスラムに導きますように」。

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