日本株だけ「出遅れ放置」が続いている理由 長期筋も短期筋も海外投資家は様子見状態

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この日本株不振の背景は、相変わらず日本の株式市況が、海外投資家の売買によって左右されているところが大きい。年金など海外長期筋は、特に変わらず淡々と新規資金を日本株に一定の配分比率で割り当てているが、買いを急ぐような構えはまったくない。短期筋は、「黒田サプライズ」を、買い持ち筋が未だに期待(売り持ち筋は「警戒」)する空気が根強く残るものの、次第に「政府・日銀は、株価を大きく動かす力が既に失われているのでは」と、遅ればせながら気づき始めている。このため、買いを進める向きは少ないが、日本株がPER等でみて割安なことも事実であり、売って儲かると考える短期筋も少ない。

したがって、海外勢は総じて様子見状態に陥っており、国内勢で買いの柱として立つ主体も見当たらない。自然と、売買高が低迷して値動きが不活発になり、それがまた投資家の物色意欲を減退させるといった、悪循環に陥っている。

模様眺めになりそうな今週の展開

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それでも、日本株の割安さや、冒頭から述べたように、世界的に(週末の下振れはともかく)大きな流れとしては、株式市場に楽観が広がってくると期待されることから、国内株価の方向性は上昇とみてよいだろう。とは言っても、目先は、週末の欧米市場の株価下振れを消化する必要があるうえ、その後も日本株が出遅れたまま放置される恐れが強く残る。

特に今週は、米FOMC(14日~15日)、日銀金融政策決定会合(15日~16日)が予定されている。日米ともに金融政策に動きはなかろうが、結果を待ちたいとの空気は強いだろう(FOMCの場合は、ほとんどが無風を予想しているものの、イエレン議長の記者会見に、今後のヒントを得ようと注目が集まるだろう)。さらに次週の英国のEU離脱を巡る国民投票(23日)が控えているとあっては、株価の方向性が上向きだとは言っても、様子見気分が勝る展開が見込まれる。今週の日経平均は、1万6200円~1万6900円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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