日経平均は8カ月半ぶりに1万円回復 安倍相場続き震災後高値も視野

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19日の東京株式市場は欧米株高に新政権期待の“安倍相場"が続き、大幅続伸した。日経平均株価は前日比237円39銭高の1万0160円40銭と3日続伸、TOPIXも同22.49ポイント高の839.34と6日続伸した。

日経平均終値での1万円大台乗せは4月3日以来8カ月半ぶり。1万0100円台では4月2日以来となる。東日本大震災後の高値である1万0255円(2012年3月27日)の更新も視野に入ってきた。

東証1部概算での出来高は40億3441万株と、東日本大震災後の総悲観ムードで投げ売りの嵐の中にあった11年3月17日の41億0690万株以来の高水準。売買代金も2兆0888億円と、1日当たりの売買代金としては、3月9日の2兆4018億円、12月14日の2兆0983億円に次いで今年3番目の水準に達した。

前日の欧米株式市場の上昇や、対ユーロでの円安傾向などが支援材料となったが、やはり大きいのは総選挙で圧勝した自民党・安倍新政権の経済政策に対する期待度。デフレ脱却や金融緩和に対する安倍総裁の発言が野党の時と一致しており、「10兆円規模の大型補正を本気でやるんだとマーケットは見ている」(大手証券)という。

19日の東京市場は日経平均が前日比102円高の1万0025円で寄り付き、前引けは127円高の1万0050円。東証の立会外取引で大口投資家が複数銘柄をまとめて売買する昼のバスケット取引は272億6600万円成立し、「売り買い均衡」と伝えられた。東京市場に遅れて開いたアジア株式市場も総じてプラスで推移する中、後場寄りの日経平均も前引けと同水準の127円高でスタート。その後は先物が先行する形で1万0100円まで買われいったん一服したものの、大引けにかけても買い物が衰えず、結局、前日比237円高の1万0160円と高値引けで本日の取引を終えた。

「国土強靱化」期待で建設・土建が値上がり上位

東証33業種別では、32業種が上昇し、下落は空運の1業種のみ。値上がり率上位では、株高による保有株式の含み益拡大期待から保険が6.16%上昇、金利低下期待から借金の多い鉄鋼も6.15%上げた。東証1部の値上がり銘柄数は全体の83.7%に当たる1419、値下がりは12.4%に当たる211、変わらずは64銘柄だった。

個別銘柄では、安倍総裁の「国土強靱化計画」への期待感から、東急建設、三井住友建設、世紀東急工業、大林道路などの建設・土建銘柄が値上がり率の上位を占めた。一方、値下がりではシャープ、アイロムホールディングスなどこのところの値上がりで過熱感の出ていた銘柄が目立った。

今後の注目材料は、本日19日から20日まで開かれる日銀の政策決定会合の結果がどうなるか。18日には日銀の白川総裁が安倍総裁に自民党本部で面会、2%の物価上昇目標などを安倍総裁が白川総裁に要請したと伝えられた。これを受けて、開催中の日銀政策決定会合で、何らかの新たな金融緩和策が打ち出されるかどうかが当面の焦点だ。

(撮影:尾形 文繁)

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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